コンビニのモニター

782 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/05/14 22:53
後輩は、某ソンの深夜バイトをしていた。 
そのコンビニは、深夜になるとかなり暇になるらしい。 
後輩はいっしょにバイトしている先輩と、いつもバックルームでのんびり漫画など読んで過ごしていた。 


ある日のこと。 
いつもと同じようにバックルームでお菓子を食べながら、後輩は先輩と駄弁っていた。 
仕事と言えばたまにモニターをチェックするくらいである。 
モニターは画面が4分割されていて、レジ2箇所、食料品棚、本棚を映しているのだが、 
ふと見ると、本棚のところに女の人が立っているのを後輩は見つけた。 
腰まである異様に長い髪をした女の人だ。 

「おかしいな、チャイム鳴らなかったぞ」と先輩はいぶかしむが、 
たまに鳴らない事もあるので、さして深く考えず二人はまたしゃべり始めた。 


しかし、である。 
いつまで経っても女の人は動く気配を見せない。 
本を読んでいるのかと思えば、何も手にしていない。 
ひたすらじっと本棚を見つめているだけである。 

「おい、こいつ万引きするつもりなんじゃないか」 

先輩が言った。どことなくおかしな雰囲気のする女の人である。 
後輩もその考えが浮かんだところだったので、頷いた。 
二人で挟み撃ちすることにして、バックルームを出る。 
先輩はレジ側から、後輩はバックルームへの出入り口から本棚へ向かう。 

783 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:02/05/14 22:54
いざ本棚へ到着してみて、二人は首をかしげた。 
そこには誰もいなかったのだ。 
おかしい。絶対挟み撃ちにしたのに…。 

すると、トイレのほうから水を流す音が聞こえてきた。 

何だ、トイレに入っていたのか。 

おかしな人だな、と思いつつ、二人はすぐバックルームへと戻った。 


しかしモニターを見て、二人は初めてぞっとした。 
さっきと全く変わらない立ち位置で、女の人が本棚を見つめていたのだ。 

早い。早すぎる。 

トイレからそこへ向かうのと、バックルームへ戻るのとでは、 
明らかにこっちの方が早いはずなのだ。 

しかも、なんで同じ格好で本棚に向かってるんだ? 


もしかして、モニターの故障では。 
顔を見合わせ、頷きあって二人はもう一度、バックルームから挟み撃ちの隊形で本棚へと向かった。 

すると、また女の人はいない。 

冷や汗がにじむのを感じながら、今度は何も言わずに二人はバックルームへと戻った。 


無言で、しかし真っ先にモニターを確認する。 

「あ、いなくなってるぞ…」 

先輩が呟いた通り、モニターからは女の人の姿は消えていた。 
後輩の心中にほっとしたものが広がる。 
よく確認しようと、先輩の横に顔を乗り出した。その時。 

「待て、動くな」 

先輩が突如、押し殺した声を出した。 
は?と思ったが反射的に従う。 
二人、モニターを覗き込んだ格好のまま固まっている。 

「いいか、絶対に今振り向くなよ」 

やはり先輩が押し殺した声で言った。 

何でだろう、と思った後輩だが、モニターをじっと見てそれを理解した。 

画面の反射で、自分の顔と先輩の顔が映っている。 

しかし、その真ん中。 


もう一つ、女の人の顔が覗き込んでいたのだ。 


悲鳴をこらえ、後輩はまさしく硬直した。 

じっと耐えること数分、その女は 

「…………」 

と何事か呟くと、すっと離れた。 

そしてさらに1分。 

もういいぞ、と言われて後輩はやっと息をついた。 
恐る恐る振り向いても、誰もいない。 

どくどく脈打つ心臓を押さえ、後輩はモニターから離れた。 

「ここって、なんかでるんやなぁ~」 

先輩は感慨深げに呟き、後輩のほうに同意を求めた。 

「そうですね」 

と、先輩を振り向いて、後輩は再び硬直した。 
その視線をたどったか、先輩もモニターのほうへ向き直る。 
そこには、さっきの女の人が。しかも今度は、 




カメラの方を向いて大口を開けて笑っている!! 




もう二人は何も言わなかった。 
何も言わず、某ソンを裏口から飛び出したと言う…。

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