女子高のトイレ

127 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :02/12/19 01:02
高校生の頃、市内の女子高の学園祭に行った。
クリスチャン系の校則の厳しい学校で、文化祭に訪れるのも
家族以外は禁止というくらい徹底した私立高校だった。
俺はそこに通う従姉妹に頼み見込んで、何とか潜り込んだ。
目的は一つ。中学で好きだった女の子がいて、その子会いたさ
からだった。
 学園祭当日、俺は校内に何とか入る事ができた。
目当ての女の子を捜して校内を徘徊したが、彼女は何かの
委員をしており、おおっぴらに話し掛けることができなかった。
仕方ないと諦めて、体育館での催し物を見たり、しょぼい模擬店
を覗いたりしたのだが、はっきりいってつまらなかった。 

どの学生も男の俺にはよそよそしく、あまり歓迎されていないと
気づくのに、それほど時間はかからなかった。
 それでも一言くらいは彼女と話したいと思い、体育館の父兄席
でねばっていたのだが、そのうち尿意を催してしまった。
使えるトイレは数に限りがあり、職員用は使用できたはずだが、
その場所がおぼつかなかった。
 体育館を出て渡り廊下に出ると、屋外プールと部室の建物の間に
それらしきものがあった。
ここも使えるのかなと思い、人気の無いのを幸いに、俺は歩いて近づいた。
思った通りトイレだったが、ドアに使用不可の張り紙がしてある。
何だよと思いつつドアノブに手をかけると、扉はなぜか鍵が開いていた。
俺は誰もいないことを確かめると、そっと中に入った。 

 トイレ内は照明も落としてあり、薄暗くひんやりしていた。
当然男用の便器はない。
 一番奥の洋式の部屋に入り、水が出るのを確認すると、俺は静かに
ドアを閉めた。
 ちょっとドキドキしながら小便をすませ、またこっそり出ようとすると、
なぜか扉が開かない。
 不安になって力任せにドアを押すのだが、まったく開かない。
外から誰かに押されているというより、まるでドアが完全に打ち付けてある
ような感じなのだ。
 そして、なぜか他の便器で排水している音がしてきた。
俺はびびってドアをよじ登ろうとした。
一瞬人影が見えたような気がしたが、外には誰もいなかった。
何とか脱出し、俺は逃げるようにそのまま校外へ出た。 

それから数日して従姉妹と電話で話をした。
俺は屋外のトイレのことを話すと、従姉妹は要領を得ない感じで言うのだ。
あそこは地下の配管が水漏れして地盤がゆるみ、建物のドアが開かないはず
だと言うのだ。以前も生徒が入ったはいいが、出ることができなくなり、
何人も閉じ込められたらしい。そして幽霊が出るという噂が立ち、
原因が究明され、二年くらい前から使用禁止になっているとのこと。
 俺は入ったと言うのだが、笑って相手にされなかった。
そんなことがあって冬休み、従姉妹から電話があった。

「あんたうちの学校の生徒と付き合ってるでしょう」
えっ?身に覚えが無い。
「けっこう目撃されてるみたいだよ」
「制服で大っぴらに街を歩いてたとか、噂になってるよ」
唖然として言葉を無くすと、従姉妹はさらに続けた。
「でも相手の女の子のこと、誰も知らないって言うんだよね」
俺は慌てて電話を切った。
「ねえ」
今しがた誰かが俺に囁いたような気がした。 

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