狐の嫁入り

706:640 11/10(金) 06:44 T2kVw22W0
なんかおばあちゃんの話好評なようでうれしい。 
そんなおばあちゃんも去年脚骨折して以来山には行ってないよ。 
だから持ちネタにも限りがあるけど、尽きるまで書かせていただきます。 

これは一番新しい話。といっても骨折する前だから一年以上前か。 
おばあちゃんはいつものように山菜仲間と山に出かけた。 
私は行ったことないのでわからんが、 
山菜採りに行くと結構常連さん?に会うっぽい。 
情報交換したり、近況を話したり、山は年寄りたちの出会いの場なのか? 

まあそんなこんなで、その日も以前山で知り合った人に会って、 
情報交換してから山に入ったおばあちゃん。 
教えてもらったスポットについて山菜をとっていると、 
晴れているのにザーザー激しく雨が降り出した。 
おばあちゃんは狐の嫁入りだ、と思って木の下で隠れるように雨宿り。 
その時とても寒かったと言ってた。 
タバコを吸おうとしたがライターの調子が悪く、 
なかなか火がつかないのでやめた、とも。 

気付いたら雨は止んでいて、近くに山菜仲間がいた。 
「ひどい雨だったなあ」 
と声をかけると 
「んだなあ」 
と答えたもののなんか様子が変。 
おばあちゃんはとにかくタバコが吸いたかったので、 
同じくスモーカーの山菜仲間に 
「火貸してけれ」 
と頼むと「持っていない」という。 
おかしい。山に直前まで一緒にタバコを吸っていたし、彼がポケットにライターを入れるところも見た。 
「これは狐に化かされてる」 
と思ったおばあちゃんは 
「もっと上に行くと山菜がたくさんある」 
という彼に従わず、「ちょっと休む」と言ってがんばってタバコに火をつけたそう。 
何回目かでやっと火がついた。 
気付くと山菜仲間は消えていて、 
おばあちゃんはタバコの煙をくゆらせながら山を降りた。 

するとあの山菜仲間が車のところでおばあちゃんを待っていた。 
「雨ひどかったな」 
と声をかけると、「雨なんか降ってない」との答え。 
「山で会ったべ?」と聞くと、 
会ってないし、約束の時間になってもおばあちゃんが降りてこないから警察に届けるところだった。 
と言われたおばあちゃん。時計を見るともう夜の7時。 
あんなに明るかった景色が一瞬にして暗闇になったように感じたそう。 

山で起きたことはやはり狐に化かされていたのか、 
ついていったらどうなっていたのか、 
なぜ暗い山の中を降りてくることができたのか。。。 

ちなみにおばあちゃんはタバコの煙には退魔の力があると信じているそうです。 

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