脱童貞旅行

581 :本当にあった怖い名無し:2011/09/16(金) 02:04:58.51 ID:zDKLUCK70
大学四年の夏休みに脱童貞旅行に行った。
笑ってくれ。笑えよ。あの頃は追い込まれてたんだ。
男根崇拝みたいな祭りが、各所にあることを聞いたことがないか。女陰信仰みたいなのも、少ないは少ないがあると聞いたんだ。
その神社でお参りしたら、はじめてのセックスも経験者のようにうまくできる、という神社の話。
泊まり込みの実験が失敗続きで、みんなバテてた時に、気を紛らわす小咄的に教授が言っていたものだ。
本気にした俺が、詳しい名前と場所を、後日、教授からこっそりご教授願った。

ご神体の前には、社の方にもお回り下さい、みたいな張り紙が書かれていた。
ご神体のある林から、社の方をみると、そっちは寂れている。
作法とかよくわからないんでご神体の前で土下座して頼み込み。ご利益と5をかけて五千円札を投入。
ご神体の根元には古びた五円がちらほらと見えた。
妙に少ないように思ったが、さすがに金は野ざらしにしないだろうから、毎日回収してるんだろう。
残された五円は、見せ金の類だったと思う。つまりここにもお賽銭していいよ、と。
社にまわってお賽銭を投入すると、賽銭箱から、こっとん、ころろろろ、ころりん。
前に投入されたお賽銭に触れたような音が音が全くしなかった。
参拝客ってこういう音から結構人気不人気を測ってそうなもんだけど、いいのかなあ、という感想を抱く。
帰りに何か土産でも買っていこうかと思いついて、探しまわったが、巫女も宮司も見当たらない。
つうか本殿もよくよく見ると埃が積もってるし、段々薄気味が悪くなってきた。

東京に帰ってきた俺。早速ご利益キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ゼミの女の子から何やらただならぬメール。とても大事な話がしたいからですとぉ(゚∀゚)
やべえ良縁のご利益もありあり?マジ?マジマジ?超受けるんですけど。
なにせ脱童貞の可能性どころかまずその相手見つける可能性すら皆無だったんすけど。
顔半分焼け爛れてて、なかなか正視してもらえないから出会いも糞もなかったんだ。
はりきっておしゃれに詳しいテニスサークルの友達に相談して、全部新品の服を買ったさ。

「脱童貞おっめでとー。きゃっははははは♪」
「げらげらげら」
「おめえ、あんなん、信じて…ひはは!!ばっかじゃねえの」
「君たち、失礼がすぎるぞ。少々度が過ぎる実験だったんだから、笑うもんじゃない。
(俺)君。とても貴重な実験結果がとれたよ。ご協力ありがとう。
普通一つの学校程度の規模でも引っかかる人はでないんだけどね。
気分を害した分のお詫びと、被験の謝礼もあわせて、ここに二十万円用意してきた。使ったお金の返金も別途するつもりだよ
今回の実験は事前に被験者には話せない種のものだった。ほんとうにすまない」

心的外傷を抱える人間がどれだけ下らない妄想にひっかかるかっていう実験だったと説明を受けた。
教授の顔をその場で思い切りぶん殴ろうと拳を振り上げたら、向こうが勝手に焦って転んだ。
速攻で馬乗りキープ。ころそうと首に手をかけようとしたところで気が変わった。
「ほんと良い実験ですよね。これが殺意か。いだいてみると案外気持ちいい」
そういって立ち上がってその場を去ったよ。
てっきり俺が傷害で告訴でもされるかとおもったが、なんもなかった。

教授がしばらくして依願退職。理由は知らん。俺はチクリもいれとらんし、ただ出席と優つけるように要求しといただけだ。
あのジジイの顔みたら気分悪くなるから顔もみるつもりはなかったし。向こうからメモで優は必ずつけると返事がきた以外何の連絡もとってない。
実験参加者が次々に、俺がかけてもないイタ電とかかけてくるから、やめてくれ、と懇願するようになった。
俺は、実験とはいえ、あそこまでやるクズ達とは、金輪際、関わる気にならなかった。だからやってない。
あいつらもあそこまでやったからには、大学にばれるのは怖いだろうから、お互い不感症が成立すると思ってた。
ところが蓋を開けてみれば、向こうから妙な言いがかりをつけてくるわけで、正直不愉快だったな。
段々実験参加者の顔を見かけなくなるor変わり果てた陰気な姿をみかけるようになる。
ある夜、俺に意味深なメールを寄越したYさんからも、もうつきまとうのやめてというわけのわからない電話が来た。
Yさんだけは何度も謝りに来てたから、そんなに嫌いじゃなかったし、俺じゃないといいながら、きちんと応対したつもり。
電話かけてくるまでの敬意を聞いた上で整理して。
「かけたときに、後ろから携帯の音はしなかったんだろ?俺の話し声も後ろからは聞こえないだろ?
つまり、俺じゃない。実験って名目ならなんでも許されると思ったことを何かが怒ってるのかもね。
謝る相手違うんじゃない?俺はもう正直おまえらのことなんてどうでもいいし」
こういうふうに告げると、また散々謝って電話が切られた。

「僕ももう飽きちゃった」
部屋の中から声がした。
「は?」
振り向いても何もいなかった。

数日してYさんから例の神社にいくから一緒に来てほしいとメールがあった。
正直もううんざりだったから、一人でいけよメスブタと返したんだが。
タイトルも内容もごめんなさいってだけのメールが即帰ってきて、
携帯握りしめて泣いてるYさん想像したら、なんか、かわいそうになってきた。
『言い過ぎた罰として、一緒に行く。いいか、別にYの事なんて心配してるわけじゃないんだからな』

で、行ってみると俺が行った時のまんまの状態。
Yさんは携帯で写真とみながら、ご神木だと思ってたものから
あの白い折り紙のついた縄みたいなのを外したりと、なんか色々やりはじめてた。
わけわからんので聞いてみたら、ここはただの廃神社で実験の為に色々と準備したとのこと。
女陰ぽくみえた割れ目もしめ縄とるとなんだか普通にも見える。
偽御神木を元に戻してる間、木立のむこうの境内を見ていたら
白装束の男の子がじっとこっちを見て、にっこり笑っていた。

これにて終わり。
バチあたりなことはするもんじゃない。

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