満月少年について
968 :933:2011/09/02(金) 13:37:27.01 ID:KfgqcmIK0
満月少年について。
小さい頃いつも不思議なことがあった。
当時の年齢をはっきり覚えているわけじゃないんだが、
3歳から5歳くらいまでの出来事だ。
幼い頃の記憶にありがちだが断片的な映像でしか覚えていない。
あの頃、両親に連れられてよく街へ出かけた。
全国的に有名な観光地に住んでいたため、
出かける場所には困らなかった。
しかしまぁどこもかしこも人まみれ。
性格的にかなりぼんやりしてたらしい僕はしょっちゅう迷子になった。
四人生まれた我が家の子供の中で筆頭の迷子率だった。
でも言い訳させてもらえば
出かける先出かける先で、僕はある少年を見ていた。
そのときは幼すぎてその「異常性」に気づけなかったが
どこに行っても彼は現れた。
白いシャツと青い半ズボンにサスペンダーをつけて
赤い蝶ネクタイという一風変わったいでたちの少年だった。
名探偵コn・・・と言いたいところだけど
実際は西郷隆盛に似ているとしか表現できない。
太いかもめ状の眉毛に丸刈りの頭。濃い目鼻立ち。
でも彼の最も風変わりな点はその肥満っぷりだった。
人間の体をこうも球体に近づけることが出来るのかというほど、まんまるだった。
満月少年はいつもまっすぐこちらを見ているのだ。
人ごみは彼を避けるように流れている。
僕はその視線から逃げることが出来ずに、いつも立ち止まってしまった。
凝視し合っている間、時間は樹液のように
どろどろ流れていくようだった。
周りの音が掻き消えてなんだか景色まで白っぽくなっていく。
正直言って彼のことが嫌いだった、
無表情でぼんやり見つめられるのが嫌だった。
「ついて来るなよ」といつも思った。
常に一定の距離をはさんで我々は対峙し続けた。
そういう意味では幻覚だったんじゃないかとも思える。
小学校に通いだした頃からだんだん満月少年を見なくなった。
でも迷子は直らなかったから
あの満月少年だけが理由だったとも限らないのかもしれない。

