イロイロと出る家

0705 本当にあった怖い名無し 2011/05/16(月) 00:10:05.77 ID:AD6iGIq9O
私が小学生から高校三年生まで過ごした家は、イロイロと出る家でした。
初めて金縛りに遇った時のこと。
私は少しくたびれて帰宅しました。高校一年生の時です。あーー疲れた。といってポテッとベッドに横たわった瞬間に金縛り。
指の一本も動かない。隣の部屋の明かりを背中に受けながら、初めての体験に慌てていました。
声も出ない。コーー、コーーという息が喉を滑る音が聞こえるだけ。
目の玉は、何とか動く。これは、いよいよヤバイ。死んでしまうかも知れない。と思った。ら、異変が動きはじめた。

まずは私の喉仏がゴリ、ゴリと指で探られる。私の視線の端っこ、認識できるかどうかという場所に、男の顔が半分だけ見切れている。
そして、私の部屋の下手には親の部屋があるのだが、その部屋をザッ、ザッ、と歩き回る音。
部屋をぐるぐると回るその足音は止むことなく、また私の喉を弄ぶ男もずっと、底に居る。

だめだ。死んじゃう。

そう思った瞬間。枕元のCDコンポが大音量で鳴りはじめた。
私の金縛りは解けた。

ただ、触ってもいない天井から下がった電気のスイッチがぶらり、ぶらりと揺れていた。

それから二年後。
私は高校三年生になり、やっとその家から離れて別の新しい良い気のある家に越すことが出来た。
その初めての晩。

秋の心地好い風を部屋に満たすべく窓を開けて、新居の浮足立った感覚を楽しみながら寝ようとして、一度窓に向いて寝返りをうった。

金縛り。

そして、カーテンが風に揺れた窓の向こうに真っ赤な服を来た小さな女の子が立っているのが見えた。

『ダレ?』『ダレ?』『ダレ?』

と脳に響く声が聞こえた。
ビュウウと一際大きな風が吹いた瞬間。その女の子は私の目の前に移動した。

心臓が止まるかと思った。
それは、人形だった。少しほつれた顔の刺繍は今でも忘れられない。
無表情で、目の前に立つその『人形』は『ダレ?』と問い続ける。
動けない私はただただ、ごめんなさいと言い続けた。すると彼女は
『いひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ』


と低い音で笑いはじめ、捻れて消えた。
それ以来、彼女は現れていない。
それ以来、私は窓を開けて眠れなくなったからかもしれない。

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