戸襖が敷居を滑る音
702 :本当にあった怖い名無し:2010/02/26(金) 21:43:08 ID:SNJ5qlTn0
ほんとにほんとにほんの~り
今からざっと50年前の話なワケだが、実母が東京で下宿してた
その名の通り、普通の一軒家の2階に間借りで、大家は遠縁の叔母
で、住み始めてしばらくしてソレは始まった。
夜中に戸襖が開く。
今もそうだけど、やたら眠りの浅い母はちょっとした物音でも起きる。
それこそ衣擦れの音でも起きるくらい。戸襖が敷居を滑る音で起きたらしい。
もっとも初日から起きたかはわかんないけど。
それが毎晩続いて、最初こそ「ああ、○○叔母さんのご主人かな?」と思ってた
そうだ。戸を開けて、そこに佇む人が男だと解ったから。
遠縁の嫁入前の娘を預かってるから、様子見に来てるのかな?と母は思ったらしいが、
それにしては、なぜ声もかけないのか?なぜ、○○叔父さん?という母の問い掛けに
答えないのか?と訝って、遂に叔母に聞いた。
毎晩様子見に来るけどどうしてなの?と。
それを聞いた叔父と叔母の顔色一変。取り繕いようもない程に。
何時くらいか?とか、開くのは戸襖だけか?とか、女じゃなく男だったか?とか
色々聞かれた後に教えてくれたのは、以前間借りしていた若い男の話。
何度も旧帝大を受験して、何度目かに落ちた後、その部屋で首を吊ったと。
物静かで真面目な人だったらしい。
まだ、勉強しに帰ってきてるんだねって。コレ聞いた自分は真っ先に
「すぐに引越ししたんだよね?」って言ったら、東京引き上げるまで
ずっとそこに住んだって。ビビリな自分の「なんでよ??」に、母は
「だって、お母さんその人になんにも悪いことしてないもん。恨まれる筋合い
ないし、出てきても襖開けるだけだし、そのうち慣れたし」だと。
ヘビで気絶するくせに。