私の後ろに陣取った

527 :本当にあった怖い名無し:2009/09/09(水) 04:46:41 ID:tdhW+ySy0
仕事帰りの地下鉄での話。
ピーク時間を過ぎてて、人もまばらで空いていた。
私は(ただなんとなくなのですが)いつも座席に座らずに
立つことにしているのでその日もいつもと同じように立っていた。

途中、ある駅で、30過ぎくらいの男性が乗ってきた。
見るからに落ち着きがなくて挙動不審。そして、その男性は、席も空いているし
他に沢山スペースがあるのに、どういうわけか私の後ろに陣取った。
私は、動いて注意を引いたりしたら面倒なことになるし、あと4、5駅したら
降りるので、少しだけ前に移動してそのままの位置に居ることにした。

乗車後しばらくして、その男性はぶつぶつ何やら呟き始めた。
すぐ後ろなので嫌でも聞こえてくる。こんな内容だった。

「もー、お父さん。だからだめなんですよ」
「そういうなよ。俺だって頑張ってるんだ」
「いっつもそうじゃないですか」

男性は、家庭でのやり取りなのか何なのか、そんな内容の会話を一人で再現していた。

そしてそれからしばらくして、その男性は突然「ふーふーふー」と言いながら
縦ノリでリズムを取り始めた。

何度目かの「ふーふーふー」の後、歌い始めた。

「すばらしいー、わーい、えむ、しえーー」

このあとしばらくこの繰り返し。
そろそろいい加減にしてほしいな、と思い始めた時、変化が起こった。

突然大きな声で

「もお悩むこーとは、なーーいんんだああーー」

と歌ったかと思うと例の「ふーふーふー」が続き、いつもより大きめの縦ノリ。
そして「すばらしいー、わーい、えむ、しえーー」で締め。

不謹慎だけど、「ちょっとは悩め」と思わずにはいられなかった。
歌を聞かされただけで無事に下車。絡まれたりしなくて良かった。

前の話へ

次の話へ