一番初めにできたお客

680 :1/3:2008/07/09(水) 00:54:23 ID:hkJi3zZG0
証券会社の営業マンをしてるんだけど、
新人の時、一番初めにできたお客は祖父と同い年の社長だった。

絶対に投信はやってくれなかったけど、株も信用取引してくれたし、
手数料に困ったときはいつも助けてくれた。

それで4年くらい取引してたんだけど、ある日いきなり電話があって、
信用の建玉を全部埋めろって言われた。

おかしいなぁ。初めてだし、俺、なんか嫌われるようなことしたかなぁと思いながら注文を流した。
それで手数料は300万くらい上がって課の数字もその日はいきなり全部終わってしまった。

約定の報告で電話をしたときに、
「投信を買ってやるから今すぐ目論見書を持ってこい。」
って言われた。

ますますおかしいなぁと思ったけど、数字になるし、そのあとすぐにクルマで会社に向かった。
支店からは1時間半くらいの距離・・・・。

会社に着いたら、会社は大騒ぎになってた。
社長が吐血して倒れたって・・・。

俺が来ることは奥さんも知ってたみたいで、今すぐ一緒に病院に来いと
奥さんの伝言があった。

それで病院に行って奥さんと話しをしたんだけど、奥さんは株や投信はもちろんお金のことは
まったく知らなかった。

俺は投信の数字を支店から期待されてきたから、なにもなく帰るわけにもいかず、
電話で約定ができてたことにして、目論見書を渡して帰ってきた。

支店に帰って、とりあえず500万約定したことを上司に伝えて発注し、その日は終わったんだ。
今なら完全に法令違反で処分されそうなことを数字のためにしてしまった。
俺も心がそのときはすごく痛んだのを覚えてる。

それから、3日後の12月6日。
仕事に行こうとしてクルマに乗ったらガソリンのメーターがどんどん減っていくのが目で見てわかった。
100m進んだところでクルマが動かなくなった。

道路にガソリンが漏れていた。
遅刻すると怒られるし、、近くの資材置き場に置いて仕事に向かったんだ。
あとから修理に出したら、ガソリンのホースが抜けていたらしい。
ディーラーもありえない話だと不思議そうだった。

そうして、会社に着いて仕事して、後場が始まったところで社長の携帯に電話してみた。
やっぱり電話には出なかった。

俺は心配になったから自宅に電話したら知らない女の人がでて、
「今朝、不幸がありましたので、とりこんでます。」と言われた。

俺は社長が亡くなったのかと尋ねた。その女性は娘さんだったみたいだ。

「今朝、6時半に病院から連絡がありました・・・。」と。

その時間は俺が出勤してて、クルマが動かなくなった時間だった。

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