怨みがある相手

626 :本当にあった怖い名無し:2008/07/07(月) 02:42:44 ID:rixFRMUDO
大学に入学が決まった頃の話なんだが、人生初めての一人暮らしをすることになって、母親と一緒に不動産屋に案内されてアパートを見て回った。
二軒目のリフォームが済んだばかりの小綺麗なアパートに入り、ワンルームながらロフトもあって中々良さそうなどと思っていると、入口側の部屋の隅にお婆さんが座っているのに気が付いた。
俺は霊感ゼロで幽霊など見たこと無かったし、その時もそれが幽霊とは思わず、本物のお婆さんと思って声を掛けようとしたら、母親に強引に手を引かれ、「ちょっと、エアコンもあるわよ」とお婆さんと反対の部屋の隅に連れて行かれた。
それでも気になってお婆さんを横目で見ると、恐ろしい顔で案内してくれた不動産屋を睨み据えていた。
まだ若い不動産屋は、お婆さんに気付かない様子で、熱心に母親にアピールしていた。
流石にまずい雰囲気を感じて早々にアパート出て次の物件に向かったのだが、車内で母親がポツリと「本当に怨みがある相手にだけ見てもらえないなんて可哀相ね…」と漏らしたのが印象に残った。

幽霊見たのはそれが唯一なんだが、本物の人間と区別出来なかったので、もしかしたら街中とかでも擦れ違ったりしてるのかな。

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