市松人形

558 :本当にあった怖い名無し:2008/05/25(日) 16:50:45 ID:7BzNU2z00

ほんのりと怖い話投下。
私が小学生ぐらいだったときの話です。


私は霊感もなく、怖いこととも無縁の生活をすごしてきたが、
ほんのり怖い経験をしたことがあります。
そんな私の小さいときの話をします。

私の両親の実家には、女の子が生まれると市松人形(正確にいうと違います)を買い与える風習がありました。
でも、私はあまりそれがうれしくありませんでした。理由は単純。怖いからです。
考えてもみてください。和風の人形で、しかも大きさは90センチはあります。
夜、ふっとそれをみてしまったときの怖さ。私はどうしても好きになれませんでした。

ある日。両親と姉がでかけてしまい、私は一人で留守番をすることになりました。
ヒマでヒマで仕方ない上に、TVは私の興味を引くようなものはありません。

私は二階の部屋に、この一人という状況を楽しむために怖い話の本を探しにいきました。
しかし、そこに行くためにはその人形の前を通らなければなりません。
布でくるんであるとはいえ、怖いものは怖いです。いつのまにか雨が降り始めていました。

私は名案をおもいつきました。歌をうたえばいいんだ!
「あの地平線~かが~やくのは~♪」
ハハハ。どこへいこうというのかね?明るくなってきました。気分は。しかし空は暗いまま。

歌いながら・・・たまにムスカ大佐のセリフをいいながら、私は目的の部屋にたどりつきました。
しかし、目的の部屋にはその人形がいます。私は勇気を絞ってドアをすこしだけあけました。

大体ドアの近くに、その人形があるんです。まるで門番のように。本当は母が面倒でそこにおいていたんですけど。
ドアの隙間からのぞきます。人形は後ろを向いています。大丈夫、私ならいける!

私がそう思ったときでした。突然カミナリがなりました。やばい!これはだめだ!
撤退しようと思って、階段までダッシュ。
しかし、階段まで戻れば、また勇気がムクムクとわいてきます。変な子供とか、いわないでください。
もう一度いけば大丈夫・・・!!Let's go!!
明るいのか暗いのかわからないテンションです。たぶんドーパミンがいっぱいでてたんでしょう。
一気にドアを開けました。

人形の位置がかわっています。後ろ向いてたよね?なんでこっち向いてるの?ねぇ・・・
ダッシュ。階段は二段飛ばしで一階へ行きます。居間についたら五秒でTVをつけました。
そして明るい音楽をかけました。そして塩を台所からくすねました。

そんなことをしていると、両親と姉が帰ってきました。遅いよ君たち!!
そして姉は二階へ。私は行くなといったんですよ。

「うわっ!何コレ?」
姉が二階にいくと、そこには大きな虫がいました。蜘蛛だったか、ムカデだったか・・・記憶がそこいらはあやふやで覚えていません。
そして母が箸でつまんで外に捨てました。大体大人の手のひらぐらいありました。

今、よくかんがえると・・・もしかしたらあの人形は私を助けてくれていたのかなと思います。
もし虫に気付かずに二階の部屋にいっていたら・・・私はきっと虫に刺されていたでしょう。
むかしから私はよく周りに注意しないで、怪我をしていたから。

そして、私は肌が弱く、常に湿疹がある子供でした。虫刺されがその湿疹に加われば・・・
恐ろしいです。幽霊よりも。

それを母に話すと、
「こじつけ!」
といわれましたけどね。

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