空母キティホーク

それは1998年のことで、私は空母キティホークの病棟で勤務していました。
ある日の午前2時頃、私はデスクで仕事をしてました。
私の背後は狭い通路があって、それは診療呼集(診断・検診を必要とする者を対象に毎日行う呼集のことで軍事用語)エリアに続いています。
私は、その時回診を終えたばかりのところで、ドアは全てロックしてありました。
深夜勤務していたのは、私のほかに3名おりました。
さて、机に向かって事務仕事をしてますと、トイレのドアが開閉する音が聞こえました。
それは同僚か誰かと思い、私は立ち上がって、トイレまで行きました。
さっき私が夜食をとりに行った際に、病棟を見てくれていたかどうかきこうと思ったのです。
私はトイレのドアをノックしましたが、返答はありません。
一声かけてドアを開けましたが、そこには誰もおりません。
病棟の方を振り返ると、フライトスーツを着た者が歩いているのが目にとまりました。
「そこへは立ち入りできませんよ」
私はそう言って、その男のところへと歩み寄りました。
トイレのドアから病棟まで、ほんの1メートルです。
でも、どういうわけか男の姿は消えてました。
患者たちが寝息をたてているだけです。それから1年ほど経った頃です。
夜中に尿意をもよおし、私は寝床から出ました。
すると足元に置いてあるはずの靴がありません。
それで近くにあるロッカーへ行きました。そこにあるかと思ったのですが、そこにもありません。
突然、全身が鳥肌立ちました。そして、私の周りでほうきをかけるような音がしました。
私が後ろを振り向くと、いつのまにか自分の寝床の足元に靴がありました。

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