波長

313: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/12/21 02:01
あれはまだ夜仕事をしていた頃
ボディボードをやりに伊豆の海へ行こうと言うことになった。
お店の営業は深夜0時まで、後片づけをしたりなんだりで
新宿を出たのはすでに1時くらいだったと思う。
お酒の飲めなかった私は助手席に友人は運転をし
もうひとりは後ろの席でビールを飲みつつ
そのうち眠ってしまった。
順調に走り続け、海の気配を感じつつ話も尽きた頃
トンネルにさしかかった。
トンネルを抜けると軽く左にカーブする道の正面に
白いパラソルを持った女の人が立っていた。
白いドレスと白い帽子、ハイカラな人だなあ・・と思いつつ
車は通り過ぎていった。
少し走ってからふと時計を見ると4時少し前・・・
こんな時間にさっきの女の人はなにしてたのかと思い
運転している友人に聞いてみた。
「さっき、トンネル抜けたところでさー・・・」
言いかける私を遮るように
「言わないで!」

と、友人は言った。何だか必死に言うのできっと友人も
女の人を見て、何だか怖くなっているのかと思った。
「うん、ゴメン・・・。」
わたしはそれ以上話しをするのをやめた。
海に着くとそこはプライベートビーチ・・・。
バーベキューをしたり花火をしたりと
楽しく遊んで帰路についた。

半年くらい過ぎてから、その友人に会ったとき
もう聞いても良いかな・・と思い聞いてみた。
「ねえ、伊豆に行ったときのこと聞いても良い?」
彼女はすぐに気が付いたようだった。
「あのトンネル出たとき、何か見たんでしょ?」と私。
「うん、おかっぱ頭の女の子がいた・・・。」友人は答えた。
「え?白いドレスの人じゃなかった?」
「なにそれ?浴衣着たおかっぱの女の子だったよ・・・。」

・・・同じ時間、同じ場所なのに見た人が違う・・・。
霊には波長があって、近い波長の人は見やすいという。
私の波長と白いドレスの人、友人の波長にはおかっぱの女の子が
あっていたのだろうか・・・。何だかとても不思議な気分になった。
後で調べるとそこは錦ヶ浦という霊の出やすいところだと言うことがわかった。
心霊スポットとかあまり信じていなかったが
今は少し信じているし、あまりそう言うところには行きたくないと思う。

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