亡霊の仕業

321: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/12/21 22:46
私の住んでいる三重県の津市ですが、県庁所在地なのに割と人口が少ない変わった市で、沿うように海岸があります。
その海岸で今から40年前の7月、地元中学の女子生徒が授業で水泳を行っていました。
(プールが学校に無かった為)

この辺りの海岸は遠浅で波が穏やかなため、その日は泳ぐのには最適な環境だったそうです。
しかし静かだった海を突然大波が襲い、泳いでいた生徒は次々と海底に引きずりこまれて
36名が亡くなり、生存者はたった9名という悲惨な事故になったのです。

ここまで多くの犠牲者を出した原因は、
生徒達がパニックを起こし助かりたい一心でお互いの脚や体をつかみ合った結果だそうです。
なぜ大波が発生したのかは今でも不明らしいのですが、地元の人の話では「澪(ミオ)」のせいだというのです。
澪とは、遠浅の海岸に大きな川が流れ込むことによってできる海底のすり鉢型のくぼみのことで、
川の流れと波がそのくぼみの真上でぶつかると波の複雑な動きにより「タイナミ」という波がまれに発生するらしいのです。
しかし生存者のある方の話では「タイナミ」のせいではなく亡霊の仕業だと言うんです。

その方の話では周りの友達が溺れているのを見て、
助けを呼びに岸に向かおうとしたのですが、脚に何かが絡んでそれを振り払おうとして見ると、
生きている人間の手とは違う真っ白い手が海底に引きずり込もうとしていたのです。

またその方は海面に防空頭巾をかぶった人々がリアルに見えたらしいです。その後気がついた
時は病院のベッドの上だったそうです。
その時見えた防空頭巾の人々はパニックになって錯覚したのだろうと私は思ったのですが、
納得せざるを得ない歴史が実際この海岸であったらしいのです。

太平洋戦争時、日本の敗色が濃くなった20年頃はアメリカ軍による本土空襲が激しく、津市
も空襲に遭い多くの死者が出たそうです。

私の知り合いのおばさんがその空襲に遭ったらしく、その時の悲惨さを私に語ってくれたことがありました。
そのおばさんの話では空襲で亡くなった方の遺体は火葬しきれず、その海岸に土葬したそうです。
その時なんとも言えない寒気を感じました。

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