見掛けてもかかわるなよ

937 :本当にあった怖い名無し:2007/12/19(水) 13:33:02 ID:Nru4uVO5O
ひいひい婆ちゃんに守られてる兄を持つ者です。
兄が中学生に上がった年の夏の話。

私が小4になって初めての夏休みが間近に迫っていた頃。
私は日曜日に友達とプールに出掛けることになりました。
プールの用意を詰め込んだバックを肩にかけ、家を出ようとすると兄に呼び止められました。

「黒いコートを着たおばさんがうろついてるから気を付けろ。見掛けてもかかわるなよ」

そんな兄の言葉に、わかった~、と生返事を返しプールへ。

友達と夕暮れ時まで市民プールで遊び、くたくたになりながら家路を一人歩いていたらふと気付いた。
車道を挟んだ向こう側の歩道で誰かがこちらを見ている。
遠目から見て黒い服を着た人。
こんな暑い日に変な人だなぁ、とか思いつつその人をちらちら見ていたら、その人が小さく手を振った。
(あれ?知ってる人?)と思い会釈したら、その人はお互いの間を大きなトラックが通りすぎた少しの間でいなくなっていた。
(あれ?おかしいな?)と思いつつも、(まぁいいか)、と家に帰った。

家に着き、玄関のドアを開けた途端玄関先で待ち構えていた兄に突然怒られた。
「このバカ。かかわるなって言っただろ」
理解ができない私に兄は言う。
「ついてきてる」
何が?と聞くと兄はため息混じりに呟いた。
「黒いコートのおばさん。お前は振り向くなよ」
唖然とする私を家に押し込むと兄は外に出てドアを閉めた。

家にあがるも外に出るもどうにもできず玄関で立ち尽くしていると、数分して兄が帰ってきた。
どうなったかと聞くと
「近くの寺にでも行くように言ってみた。でもまた来そうだから、今夜は枕元に塩と酒と米混ぜたやつ(実家に伝わる魔除け)を置いとけ」
と言われた。

その夜は魔除けを置いて寝ようとしたんだけど、何だか落ち着かなくて兄の部屋で寝かせてもらった。
そしたら朝起きて兄が
「やっぱりまた来たよ。婆ちゃん(ひいひい婆ちゃん)とごちゃごちゃ言ってる内に帰ってったけど、どうなるかな」
って言ってたのにほんのりした記憶がある。

その後の事は「お前はもう気にしなくていいよ」って言って教えてくれなかった。
今度また詳しく聞いてみようと思う。

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