怪談噺

641 :本当にあった怖い名無し:2007/10/16(火) 18:25:04 ID:FrNtBKC+0
私が高校の時の話。
オリエンテーリングの一環で校外合宿があり、
私・友人A・友人Bの3人部屋が同じ部屋に寝泊まりすることになりました。
二泊三日の最終日の晩、その年代にはよくあることで怪談噺をすることに。
私とAは布団の上に坐り、Bは布団に入ってあおむけになって話をしていた。

そこで聞いた一番怖い話は、Aが中学生の時、夢で女の人に首を絞められた。
このままでは殺される、と感じたAは必死に抵抗してなんとか逃げおおせた。
翌朝、顔を洗おうと鏡を見たら、首にくっきりと指の跡がついていたんだけど、
A以外の家族にはそれが見えなかった。
そのまま登校して、何事もなく放課後、合唱部の練習に行ったら、顧問の先生に
「どうした、A。首にあざがついてるじゃないか」といわれたんだって。
「見える人にしか見えない跡だったみたい」とサラリとAがいってその話は終わった。

一連のAの恐い話の最中、私はあまりに怖いので途中Bの方をチラ見していた。
相槌をうつのは私だけだったんだけど、Bは目をぱっちり開けていて寝てはいなかった。
そしてAの話が終了、私が
「Bちゃん、今のAちゃんの話、怖かったね」と話しかけたところ「え? どの話?」との答えが。
「だから、女の人に夢で首を絞められて……っていうの」「私、そんな話聞いてないよ?」
「嘘だ! Bちゃん、目を開けていたじゃない」「でも聞いてないもん」というやりとりに。

Bはおとなしい子で、嘘をついて人を驚かしたりするタイプじゃない。
確認すると、どうやらAがその話をしていた間だけ、Bの記憶が完全に抜け落ちているようだった。
思い返すと、その時のBは目を開けていたけど、ほとんど身動きしていなかった。まるで、彫像のように。
もしかして私は聞いてはいけない話を聞いてしまったのかも……と思って、
その時、ほんとうに体から血の気が引きました。
だから、Aの話もよく覚えていないのです(忘れようとしたんだと思う)。

ただ、あの時のBの彫像のような顔だけは、今でも記憶に残っています。

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