幽霊なんているわけない

376 :1/2:2007/10/04(木) 15:36:56 ID:NqwOe9+Q0
タクシー乗務員の父から聞いた話。
10年くらい前の夏の夜のこと、父はいつものようにタクシーを走らせていた。
数10メートル先で手を挙げている客がいたので、車をそばにつけ、レバーでドアを開けた。
普通ならここで客が乗り込んでくるはずなのに、その気配はない。
不思議に思った父が後ろを振り返るが、だれもいない。
もちろん、車外にも人影らしきものは見当たらない。
おかしいと思いつつつ、その日は仕事を終えた。

後日、同僚にこんなことがあったんだ、と上記のことを話したら、なんと、その人も
同じ場所で同じ体験をしたという。
さらに、別のタクシー会社の乗務員も体験している、とのこと。
幽霊なんているわけないと思っていても、これだけ目撃証言が続くとさすがに怖い。

ある日、前方に同僚のタクシー、後方に父のタクシーという状態で走行していたら、
例の場所で手を挙げている人がいる。
いくら幽霊騒ぎのある場所とはいえ、乗車拒否するわけにもいかない。
同僚は車を止め、ドアを開ける。
普通なら前のタクシーが客を拾ったら、後続は追い越していくのだが、その時は違った。

父は見てしまったのだ。

クロスした2本の電柱の陰にうまく隠れた一人の男を。
もちろん、脚もある。
たちの悪いいたずらだと思った父は、その場から去ろうとする同僚のタクシーを
クラクションで呼び止め、「前からまわれ、俺は後ろから行く」と指示。
渋る同僚を「いいから!」と一喝し、隠れた男を挟み打ち。

父は電柱の陰で縮こまっている幽霊男の襟首を掴んで引きずり出し、
「ゴルァ! 何やってんだ、オメェはっ!」と威嚇。
それにビビった男はただひたすら謝るのみ。
その場で「もうしない」との確約を取り付け、終了。

次の日から、そこで幽霊騒ぎはぱったりと消えたとさ。
幽霊の正体見たり枯れ尾花。

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