前任の教師

876 :876:2007/09/18(火) 19:05:47 ID:cvayk6Ey0
新任早々、離島へと飛ばさされた小学校教師をしている友人から聞いた話。

彼が住むことになったのは、自分の前任の教師が住んでいた一軒家。
一軒家といっても木造の小振りな平屋だったらしい。

島民の噂によると、その前任の教師というのが相当変わり者だったらしい。
自分と同じく、新任教師でいきなり離島に飛ばされた彼は、最初はごく普通のちょっと内気な若者に見えた。
しかし時がたつに連れ、しだいにやつれ、島民とのコミュニケーションなど一切しない、陰気な男になった。
退屈な島での生活になじめず、鬱になる教師もいるらしいが、彼は特にひどかった。
小学校の教師として最低限の仕事しかせず、仕事が終われば家に帰り出てこない。
家のカーテンは1年中閉め切られていた。

週末になるたび、彼は船に乗り本島にもどった。
数時間の時間をかけ、本島に戻る彼。
島民は「恋人にでも会いに行ってるんだろう」などと言っていたが、
島の彼の家まで遊びに来る者は、恋人はおろか友人一人もいなかった。
彼が島に戻ってくるときは、大きな黒いバックをもって帰ってくるのが常であった。
行くときは手ぶらに近い格好なのに、一体毎回何をそんなに持ってきているのか、
誰もが気になったが、面と向かって聞き出そうという者はいなかった。

そんな彼も、やっと移動で島を離れることになった。
さすがの彼も、帰るまでの数日は晴れやかな顔をしていたそうだ。
島と分かれる数日前の晩、彼が家の隣の畑で何かを焼いているのを見た者がいた。
何を焼いているのかは分からないが、周囲には異臭が漂っていた。

いよいよ、お別れの時。
いつもなら涙涙のお別れとなるものだが、形式的なお別れ式が港で行われたものの、
誰も涙する者もなく、彼もまたさっさと船の中に消えてしまった。
それ以来、誰も彼を見ていない。

ところで私の友人であるが、もともと田舎志向の強いヤツで、島民ともうちとけ、楽しい島での生活を送っていた。
ある日、「ちょいと畑でもいじってみようかな」と思い立ち、畑にクワを持っていった。
まずは耕して見ようと思い、雑草がまばらに生え、放置されていた畑にクワを入れる。
おかしな感触。ガリっと、土や石ではない感触。
見てみるとそこら中に散乱するのは、焦げたプラスチックの塊。
さらに掘り返してみると、出るわ出るわ焼け残ったビデオテープの山。
その畑から出てきたのは、前任教師が処分した大量のビデオテープの山だった。
内容は全てロリータ物。幼女を対象としたアダルトビデオで、いわゆる裏ものも大量に含まれていた。

そんなビデオテープのゴミくずを全て取り除き、友人は畑仕事をしている。
もうすぐ彼も離島を離れることになるだろう。

前の話へ

次の話へ