あの人

823 :sage:2007/09/16(日) 05:07:57 ID:5YBuRbFz0
なんとなくスレ見てたらこういう場所に残しておくのを思いついて。
ごめんなさい、個人的なメモも兼ねてですが、自分が持ってるだけでは不安なので。
スレの趣向に少しは沿っていると思うのでご容赦ください。

2007年7月7日 16時頃 ドンキがある通り。
友人の結婚式のため学生時代を過ごした大阪に久しぶりに行った。
ホテルに戻る途中、あの人が道路に膝をついてうつむいている。
「大丈夫ですか?」って声をかけると目が合った。
「起き上がりたいので、手を貸してください。」と言われたので、しゃがんで肩を貸して立ち上がろうとしたけど、地面から生えているように重くて立ち上がれない。
後ろから両脇に腕を通して、抱え上げるようになんとか立ち上がらせる。
「大丈夫ですか?」と聞くと「大丈夫です、ありがとう。」と言ったので、落ちていた杖を拾って渡し、会釈をしてその場を後にした。
2007年9月16日現在、これが最後にあの人に会った時のこと。

年はよくわからない。
白髪で杖をついている。
中年のようでおじいさんと言われても納得できる。
背は高く、体格がいいがとても華奢。
凄く不潔なようで、身なりがいい。
趣味のいいシャツに、質のいい落ち着いた色のベストをきっちり着ている。
でも誰かに着せてもらっているような、あの人が自ら選び、身につけているのものではないのが何故か解る。
目は少し濁ったような、吸い込まれるような、生気が感じられないようで凄く力強い気もする。
目尻にねっとりした大きな目やにが固まってる。(一番印象強い)

いつもあの人と会う時は周りに誰もいない。
いつもあの人と目が合うと、「あれ?」と思う。
小さい頃から何度もあの人に会って、いつもあの人は苦しそうにしていて、いつも手を貸す。
いつもその場を後にして、少し歩いた所で前に会ったことがあると思い出して、振り返るといなくなっている。
そしてすぐに忘れてしまう。

でも何故か今回は忘れずに、ずっと覚えている。
その内会えなくなる気がするから、もう聞かなきゃいけない頃なんだと思う。
「あなたは誰?」って。
もう絶対に忘れるな。
多分、あの人に殺される。

前の話へ

次の話へ