子犬

293 :本当にあった怖い名無し:2007/08/20(月) 03:53:56 ID:4uuqvuj+O
私が子供の頃、父が子犬を連れて帰ってきました。
子供だったから酷いこともしましたが、彼は私にとても懐いてくれました。
ある日彼は病気にかかり、日に日に弱っていきました。
弱っているのに私を見ると顔を上げ尻尾を振る彼を見て、私はすぐに元気になると楽観的に思っていました。
しばらくして彼は死に、私は自分がバカだったと思い知らされました。
彼にやった酷いことが私を責め、彼にすまない気持ちで泣き続けました。
何年かたったある日、友人数人といわく付きの廃館に探検に行くことになりました。
私は体が重くなるのを感じましたが、特に何もおこらずそのまま家に帰る事になりました。
夜寝ていると急に耳鳴りがし、体が動かなくなりました。
何かが側にいる気配を感じ、頭が割れるかというぐらい大きな耳鳴りを聞いているうちに、死の恐怖でパニックになった時。
「ワン」と言う声が聞こえ、耳鳴りと気配が消え去りました。
私は懐かしい声を聞き、彼が私がやった事を許し守ってくれていると感じて泣きました。
声を聞いたのはあの時だけですが、今も彼が見守っていてくれるかもと思うと心が満たされます。
私がこの世から去った時、また彼に会ってありがとうと言えればいいんですが。

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