通りすがり

778 : ◆DO73SAvCPA :2007/08/02(木) 04:20:34 ID:T7BOl6GW0
今住んでる家は同居人のいーちゃんと二人で暮らしているのだが、どうも3人ばかり“居る”。
その3人は特に問題はないので放置している。
問題は“通りすがり”の方だ。

春先に体調を崩して昼間から寝ていたら、ベッドの上と畳を歩く足音がして目が覚めた。
同居人が帰ってきたのかと思って、
「おかえり、いーちゃん…なんかさがしもの?」
だるい体で起き上がりながら言って固まった。

誰もいない。

不審者か? もしそうなら、相当足の速い奴か忍者だ。
しかも、ベッドのある部屋と玄関に隣接した居間に続く横開きの戸は取り外してあるから、隠れる場所などない。
ぞっとしながら、ゆっくり横になり目を閉じると、また足音が聞こえた。
(うわ、誰かが勘違いして入ってきちゃったのか?)
寒気は酷いが、具合が悪いせいだと思い込み、ぱっと目を開ける。足音が止む。
何度かくり返すうちに疲れてきたので、起きて、念のため玄関の鍵を確認した。きっちり閉まっていた。
トイレにも台所にも風呂場にも人間はいなかった。
同居人にメールすると、
「通りすがりなら、そのうちどっか行くよ。実害ないんでしょ?」
と暢気な返事が返ってきた。
こいつと一緒に行動するようになってから、こんなことは割と日常なので、余程やばくなければ放置するのは
いつものことだが、具合が悪い時に出てくるのはやめてほしいと本気で思う。

足音の主は翌日にはいなくなっていた。
それっきり現れていないが、いったいなにを探していたのか、たまに気になる。

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