佐渡汽船

649 :本当にあった怖い名無し:2007/07/28(土) 07:22:13 ID:xZkGmofMO
学生時代の夏休み、友人と佐渡汽船に乗って佐渡島に遊びに行った。
船内の探索に行った友人たちをよそに、眠くなった私は、畳敷きの広間のような船室で横になってうとうとしていた。
周りには何組もの家族連れがいて、かなり賑やかだった。幼稚園児位の女の子が大声でセーラームーンの歌を歌っている。
気付くと、赤ん坊が足元から膝にはい上がってくる。
すぐに家族が気付いて連れていくだろうと思ったが、いつまで経っても誰も気付かないようだ。赤ん坊は太股、腹とだんだんはい上がってくる。
女の子の歌はずっと続いている。
赤ん坊がとうとう胸に乗ってきた。乳臭い匂いと早い息遣いが聞こえる。さすがに降ろしたいが、眠気のためか身体が動かない。
首に息が掛かる。
よだれでもつけられたら堪らないので、眠気を振り払い、目を開けた。
歌はまだ続いている。
だが胸の上には何もいなかった。乳臭い匂いも息遣いの気配もそのままなのに。
後年、とある本に「金縛りの時、胸に乗るのは女の霊」とあった。
あの赤ん坊は幼くして亡くなった女の子だったのだろうか。

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