鳥居

266 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/04/03 13:49
某国内線空港の拡張工事でガードマンのバイトやってたときの話。
たまに、びっこを引いた三本足の犬が滑走路内でぴょこぴょこ歩き回ってるのを見かけた。
ほんとは通報しなくちゃいけないんだろうけど、なんだかかわいそうで、
しばらく知らん振りしていた。
やたら人間を警戒する犬で、俺も2、30メートルくらい近づいただけで
恐ろしい剣幕で吠え立てられた。

すぐ近くに赤い大きな鳥居が立っていて、その犬はその鳥居の周りに良く出現した。
で、そこで、まるで飼い主とじゃれあってるみたいにおなかを上にして転げまわったり
尻尾をやたら振ったり、「クーン、クーン」ていう甘えた鳴き声出したりしてた。
人間で言えば、相手がいないのに誰かと話してるように独り言言う人みたいで、すごく不気味だった。
そういう時は目線も明らかにそこにひとの頭がある高さをじっと見つめたりしてたし、
独りで「お手」をやってるのを目撃したときなんか、ほんとにヤバイ感じだった。

そのバイトは2週間足らずで辞めたんだけど、後に聞いたところでは、
その鳥居はお稲荷さんを祀ったとても古いもので、しばらく後に工事の都合で他へ移転させられたっていう話。
ちょっと有名な鳥居らしい。
犬は鳥居が撤去される数日前に保健所で処理されたとのこと。

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