ベッドが壊れていた

253 :本当にあった怖い名無し:2007/07/18(水) 01:38:48 ID:CdQMrK190
その日、酔って帰った私は何をするのもめんどくさくなり、ベッドに
身を投げ出すようにして横たわると、そのまま寝てしまった。
寝る前になにやらバキッ、と言う音と悲鳴を聞いた気がするが
猛烈な睡魔の前にはどうでも良いことだった。
朝起きると、ベッドが壊れていた。
小学校の時のあだ名は「女横綱」、100キロを超す私の巨体とそれが
もの凄い勢いで乗っかった衝撃に安物のスプリングベッドの足は耐えきれず
昨夜私が乗った瞬間に足1本が折れてしまったようだった。
「このベッドも3年近く使ってたしなあ・・・」
などとぼんやりとベッドに同情しながら、私はふと部屋に充満する血なまぐさい
臭いに気づいた。
「ベッドの下・・・・?」
私は壊れたベッドをどかし、その下にあった光景に目を丸くした。
ベッドの下にはうつぶせになった若い男が、いや、昨夜までは男だった物体があった。
手足があらぬ方向に曲がっており、背中の中心がえぐった様に潰れ、凹んでいる。
口からは血の混じった吐瀉物をまき散らし、右手には包丁が握られていた。
どうやら私はベッドの下に潜んでいる男に気づかず眠りこけ、ベッドの足が折れた
事により私の全体重を身体に受けたこの男は哀れにも圧死してしまったのだろう。
そう言えば昨日、下着を洗濯したままベランダに干しっぱなしだった。
私は男の死体を見下ろし、ため息をついた。洗濯物から女の一人暮らしと判断できる
観察眼を持っているのなら、その洗濯物のサイズからその女の体格ぐらい見抜けよ、と。

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