ルームメイト

825 :音楽家:03/05/02 00:13
オレがアメリカ、ボストンに留学した時、ルームメイト(アメリカ人)に聞いた話。実話らしい。

アメリカのフロリダ州に、全寮制の女子大学があった。
校舎やら寮やら、簡単なショッピングモールまでもが大学の広大な敷地内にひとまとまりになっていて、
学生は生活の殆どをそのキャンパス内で過ごす事ができるような環境だった。

そんな大学での話。

入学したてで、とても勉強熱心だったAさん(アメリカ人女性)は、その日も夜遅くまで課題に取り組んでいた。
校舎はもうとっくに閉められている時間だったが、寮には勉強熱心な生徒の為の「自習室」があり、Aさんもその自習室を遅くまで利用していた。
ふと時計に目をやると、もう午前3時をまわっていた。丁度疲れも感じていたところだったので、今日はこれくらいにしておこう、と部屋に戻る事にした。
その寮では1部屋につき二人の共同生活が義務付けられており、AさんはルームメイトであるBさんと共に同じ部屋で暮らしていた。


もう夜も更けたとても遅い時間、当然Bさんは先に休んでいるだろう、と思い、Bさんを起こさぬ様静かに部屋のドアを少しだけ開け、中を覗いてみる。
案の定、部屋は真っ暗になっていて、ふたつ並んだベッドのひとつにBさんが横たわって寝ているシルエットがかろうじて分かった。
Aさんも早くベッドで休みたかったのだが、今自分が部屋に入って灯りを付け、着替えたり何をしたりと寝る準備をしたら、隣りで寝ているBさんを起こしてしまうかもしれない。
そう思ってAさんは灯りを付けずに2、3歩だけ忍び足で部屋に入り、自分の机に今まで勉強していた課題のテキストなどをそっと置き、また忍び足でドアまで戻った。
今夜は自習室のソファで寝る事にしよう。ルームメイトを気遣ってAさんは静かに部屋を後にした。

自習室での仮眠していたAさんが目を覚ました頃、なんだかキャンパス内はひどくざわついていた。
生徒達が何やらヒソヒソ話あっていたり、教員が慌てて廊下を走ってどこかへ急いでいたり。
「一体何事だ??」Aさんはそう思いながらも、とりあえず早く部屋に戻って朝の支度をしたかった。
エレベータで自室のある階まで上がる。すると、そこにはなにやら人だかり。警官までいる。
Aさんはそこで青ざめた。人込みの中心は自分の部屋だった。部屋の入り口には「Keep Out」の黄色いガムテープ。
なんとか人込みをくぐり抜け、部屋の入り口まで辿り付く。
「一体何があったの?ここは私の部屋よ!!」Aさんは入り口を封鎖していた警官をどけて部屋に入った。

そこには、ベッドの上で横たわるBさん。
昨夜見たままの同じシルエット。
ただ違うのは、腹と喉が思いきり一文字にナイフで割かれている。
ベッドのシーツはどす黒く染まっている。闇夜に紛れんばかりに。

それを見てAさんは何も言葉が出なかった。昨夜、寝ていたはずのBさん。寝息も聞こえないほどに熟睡していたんじゃないの??
Aさんはふらふらとその場にしゃがみこんで、呆然とBさんの無残な姿を見ていた。

すると、一人の警官が近づいてくる。「あなたがルームメイトのAさんですね?大変お気の毒な事になってしまいました、、、、。
それと、ちょっとこちらに来て観て頂きたいものがあるのですが、、。
おそらく犯人が残したモノと思われますが、私達にはなんの事だかさっぱり、、、。」


警官に導かれ付いていくAさん。
その先。
シャワールーム。
洗面台の上の大きな鏡。
書きなぐられた
真っ赤な血文字。
犯人のメッセージ。


「電気をつけなくて良かったじゃないか」

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