「43」

278 :本当にあった怖い名無し:2007/04/12(木) 19:31:49 ID:yny/inT70

主人公は、一人娘がいる男性。妻と娘と3人で楽しく過ごしている。
ある日、男性が寝ていると金縛りにあってしまう。以前、金縛りにあったときは指から動かしていけば動けるようになると
聞いたので、やるんだが全然効かない・・

そのうち体がさらに重くなり、耳元で「43」とボソリと声で聞こえた。うわぁあ気持ち悪い!!!怖い!!!
きっとラジオかテレビの音だと思うようにする男。

翌日、いつもなら車で出勤するのだが、何かあってはいけないと思い
バスで出勤することにした。43という数の意味、謎の声 全然見に覚えがないので、忘れることにした。バスは速度を
上げ走っていたが、しばらくして、急ブレーキがかかったかと思うと、「ゴゴゴッ」と鈍い音がした。
バスが小学生の子供をはねたのだった。
幸い主人公には怪我はなかったが、小学生は即死だった。救急隊がかけつけ、血まみれの子供を運ぶ。その時に
胸につけた名札が見えた。4年3組・・・43だ。男は昨日の金縛りをハッキリと思い出した。

気持ち悪い。いや・・何かの偶然だ。そう思い、忘れようとする男。
しかし次の日、隣人の夫婦が自殺死体が見つかる。とても自殺なんてするような人じゃない。仕事だって夫婦仲だって
上手くいっていたはずだ。警察の話では、首吊り自殺で、亡くなったのは、昨日の深夜だという。
昨日・・俺が金縛りにあっていた日か・・男は、犬の散歩でもして、気を紛らわそうとして表に出る。
そこで、となりの家の番地が4-3である事に気づく。

気味が悪い。昨日から、嫌な事が立て続けに起きる。しかも、偶然とはいえ、43に関連?している。
普段は心霊現象など信じていない男だったが、近所でも有名な霊媒師に何か悪い事が起きると相談する。
霊媒師は苦しそうな顔つきをしながら、「そういう事が何回起きましたか?」と聞いた。「2回ぐらいです」
霊媒師は、
「憑依されているが、今現在、お祓いをすると逆効果になってしまう。とりあえず
あなた自身には危害を加えない霊だ。43というのは、その霊が死ぬ前に思っていた事に関連しているが、
何に関連しているかは分からない。とにかく、あと2回そういう出来事が起きるだろう。
あと2回だけ我慢しなさい。」といったものだった。

あと2回?我慢?ふざけるな。危害を加えられないからといって、こんな現象がおきるなんて耐えられない
とっととお祓いでも何でもしてくれ!男は頼んだが、霊媒師は受け付けようとしない。

その日の夜、男は夢を見た。夢には母が出てきた。夢の中で男は小学生だった。
「ほら、ご飯ができたわよ。早く食べなさい。」「うん。」ご飯と味噌汁。卵焼き。
「ごめんね。卵焼きぐらいしか、おかずが無くて。」
「ううん、大丈夫だよ。お母さんの卵焼きすっごく美味しいよ」  その時・・ピンポーン・・チャイムが鳴った。
男は嫌な予感がした。「お母さん出ちゃだめ」「何言ってるの?お客さんかな」「出ちゃだめだよ!お母さん!
お母さん!!!」母親が玄関の扉を開ける。
「お母さん!!!!」自分の叫び声で目が覚めた。

変な夢だ。何で母を止めたのかも分からなかった。だけど、あの嫌な予感は、昨日ぐらいから感じている物だった。
次の日。
田舎から電話があった。母親が、交通事故で死んだとの知らせだった。目の前が真っ白になる。
なんで・・男はすぐに田舎に帰り、母の葬儀に出た。信号無視の車に跳ねられた母は、死ぬ寸前まで意識があったという
苦しかったろう・・可哀想な母・・男は、悲しさと悔しさで胸がおしつぶされそうになった。
母を轢いた車は逃走していた。当て逃げだ。警察の捜査もあって、数日後に解体しようとしている所を捕まえた。
犯人の乗っていた車のナンバーに○○-43とあった。これは偶然なんかじゃない・・
これで3回目。あと1回・・またこういう事があるのか?冗談じゃない。

すぐに霊媒師の元に向かうが、霊媒師はいなくなっていた近所の人の話では、引っ越したらしい。
何で、こんな肝心なときに!しかし、自分でも何とかこの現象を食い止めなければいけない
男は、数字に異常にこだわるようなった。4や3という数字が出ただけでも避けたし、なるべく数字にかかわらない様に
買い物にも一切出かけなかった。妻にもカードで買い物をするように言った。
果たしてそれが何の効果があるのか分からなかったが、まだマシなような気がしたのだ。
また、パニックになっていた男には、他に何をするべきかも思い浮かばなかった。
警察にかけこんだところで、何もしてくれないだろう。43とういう数字が私を不幸にするんです。奇妙なことが
頻繁におきます。なんていったら、逆に自分が怪しまれてしまう・・・。

それから数ヶ月。男が用心したせいかは分からないが、何も変な事は起きなかった。
隣の家は取り壊され、新しい家が建ち、新しい住人が引っ越してきた。小学生を跳ねたバス会社は遺族との和解が成立し、
男はだんだん43という数字を忘れかけていた。

車を買いたいんだけど・・男の妻がある日、提案した。以前まで乗っていた車も古くなり、男も同意したが、
ナンバープレートや値段には最新の注意を払った。まだ1回残っている・・あの霊媒師の言葉が気になっていた。
それから1ヵ月後。新車が届いた。念のため、神社でお祓いもした。乗り心地もよく、男はあの出来事を
忘れる事にした。何も起きないし、起きるはずが無い。ただの偶然だったんだ。あと1回?ありえないよ。

それからさらに数年後、男は仕事がいつもより早く終わったので、いつもより早く帰宅する。
ポストに入った夕刊や、郵便物を取り、無造作にテーブルの上に置く。「ただいまー帰ったよ」
返事はなかったが、特に気にもとめなかった。買い物にでも出かけているのだろう。
とりあえず風呂にでも入っておくかな。ふと、何気なく夕刊をみると、4月3日 と日付の欄が見えた・・

あれから数年、何事も無く、あの金縛りの事など完全に忘れていたのに、また思い出した。
考えすぎだな・・。新聞をたたもうとした時、自動車会社からの郵便が目に付いた。
中をあけると写真が入っている。妻と娘と男で、新車の前に立って撮った写真だ。
「きれいに写ってるな」自動車会社のサービスで車と一緒に撮った写真を送ってくれたのだ。

しかしあれから数年たつのに、いまさら買ったときの写真を送られてもな・・
添えられていた手紙には、「ご購入当時と比べて、現在お乗りの車、どこかお困りごとはございませんか?」
車のオプション追加はございませんか?(カーナビや、アルミホイールなど・・と書かれていた)商売上手な会社だ。
写真を送ってあげるけど、物も買えと言うんだな・・。まったく・・。男は写真を見てふと気がついた。

ナンバープレートだ。22-○○  
43とは関係ない。でも・・・・・男は嫌な予感がした。頭の中で数字を計算する・・・
最初の小学生の事故。4年3組で4+3・・ 隣人の自殺、4丁目3番地 母の死・・犯人のナンバー ○○-43
馬鹿げているが、すべてを足していくと21だった。




その時、電話が鳴った。

まるで妻と娘に何かが会った事を知らせるような電話が。

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