醜い傷

598 :1/4:2007/03/19(月) 21:50:08 ID:A7GqFIDPO

私の右手には、醜い傷がある。
今から八年程前、私が小学三年の頃だっただろうか。
私は下校中、車が行き交う路上へと突き飛ばされた。幸い車が直前で止まった為、右手の怪我だけで済んだ。
突き飛ばされた。その事実以上にショックだったのは、犯人が私の友人Kだった事だ。
彼女は「ふざけてぶつかったら〇(私)が転んだ」と笑って言った。
嘘だ。彼女は私を恨んでいる。だから殺そうとした。
そして、何故彼女は私を恨んでいるのか。

総ては二ヵ月前、とある事件に起因する。
私の通っていた小学校には、校舎の間に遊具を設置した公園の様なスペースがあった。私は昼休みにそこで友人Rと遊んでいた。
ふとRが姿を消した。
当たりを見回すと、額から血を流し倒れているSの姿があった。
頭部裂傷。十二針を縫う大怪我だった。
Sが言うには、突然石が飛んできた。飛んできた方向に私がいた。という事らしい。
勿論私は何もしていない。しかし周りの人間は皆、私が犯人だと決め付けた。友人も、教師も、そして両親さえも。

次の日から、私に対するいじめが始まった。

私をいじめていた筆頭は、Sの友人K、私に罪をなすり付けたR。
殴られ、罵られ、地獄の様な毎日だった。

時が経ち、みんなは事件の事を忘れ、私へのいじめも治まっていった。

暫くして、Sが学校に戻ってきた。Sの額には、うっすらと傷跡が残っていた。
Sは、私を責めることはしなかった。もっとも私に責められるいわれはないのだけれど。

そして。
あの日、Kは私を突き飛ばした。
その時Kは、まるで汚物でも見るような目で私を見ていた。

私は真実を口外する事はなかった。言っても信じてくれる人なんていないから。

後に判った事だが、Kは私とSが仲良くするのが気に食わなかったらしい。
KがSに向けていたのは友情ではなく歪んだ愛情だったのだ。
私の友人を装っていたのもSに近付く為である。

そして私が邪魔になり、Rに石を投げさせた。
しかし、私をねらった石は誤ってSに当たってしまった。Kはそれが、私が避けたせいだと考えたらしい。
以前と変わらず私に接するSを見てKの怒りは爆発し、彼女は直接私に手を下した。

その後Sは父の都合で転校した。
KとRは今でも同じクラスにいる。
彼女達は当時の事を覚えておらず、真実を知るのは、私と今も残る右手の傷だけである。
呪いを込められた傷は消えることはないという。
私の傷が消える日はくるのだろうか。


文章目茶苦茶でごめんなさい

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