喧騒

592 :本当にあった怖い名無し:2007/03/19(月) 12:44:45 ID:FPEAXx+M0

高校生のときの話なんだけど・・・

自分が通ってた高校は
商店街を突っ切った大通りの突き当たりにあったんだ。
だから、毎朝開店の準備などをしている商店の前を通って通学してた。
帰りももちろんその商店街を通る。
結構景気がいいのか、立地がいいのか、そこはいつも賑わっていた。

その日は部活が無かったから、放課後友達と長話をした。
そいつとは帰り道が違うから変な時間に一人で帰ることになった。
いつも通り商店街を通る。
午後のおばちゃんや高校生の喧騒が聞こえていたんだけど、
ある地点に立つと、それがぷつ、と消えたんだ。
「え?」と思って辺りを見回した。そこは
いつもどおりの商店街。店は営業中。買い物客もたくさんいる。なのに
音だけが、聞こえない。
口が動くのさえ確認できるのに、声が聞こえないんだ。
一瞬耳が悪くなったのかと思って耳を叩いた。でも、変化は無かった。
怖くなって後ずさりするとまた声が、音が聞こえてきた。
訳が分からなくて早足で帰った。
一応病院で見てもらったけど、耳が悪くなったわけではなかった。

次の日、クラスでそのことを言いふらしたんだが、誰一人として信じてくれなかった。
部活でも話した。すると一人だけ「じゃあそこへ連れて行ってみろ」といった奴がいた。
そいつと放課後例の場所へ行ったんだ。
そこはまあ、なんというか道路に白く書いてある「止まれ」の
「ま」の字の一部なんだけど。
結果だけ話すと、そいつと二人で行ったときには何事もなかった。
嘘つきよばわりされたけど、そこはまあなんとか誤魔化した。


本当に勘違いだったのか・・・と最近では思い始めている。
でも、あの時の、顎や唇が動いてるのに声だけが聞こえなかったり、
髪をなびかせて走る自転車が全くの無音だった・・・っていう
風景の不気味さは忘れられないんだ。

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