バナナの絵

933 :本当にあった怖い名無し:2011/04/05(火) 22:24:28.21 ID:PHfB4xqq0
小学生の頃の話。
俺はさっちゃんの怖い話を本気で信じていた。
その話ってゆうのが、さっちゃんの歌を全部聴いてしまうと夜、さっちゃんの幽霊が足をもらいに鎌を持ってやって来る、というもの。
これを防ぐには枕元にバナナの絵を毎晩置いて寝なければいけない。
今考えるとバカらしいが、本気で信じていたのだ。

俺はその話を六月の始めに友達から聞き、その日の晩から枕元にバナナの絵を置いて寝ていた。
最初の方は怖かったのだか、日を重ねる内に枕元にバナナの絵を置いて寝るという事が当たり前になっていき、怖くはなくなっていた。

そうこうしているうちに七月下旬になった。
夏休みに入る前に先生が図書室で一人三冊本を借りましょう、と言うのでクラス全員で借りに行った。
こうして夏休みが始まった。
もちろん、バナナの絵の習慣は続いている。
俺は友達と外で遊ぶというより家でゲームをしている方が楽しかったので外に遊びに行くということはなく、友達が家に来るということもなかった。

夏休み終盤。
十一時も過ぎたので寝ようと思いベッドに入り枕元を確認した。
絵がない。

ベッドの下も確認した。
ない。
俺は家中を探し回ったが見つからなかった。
やばい、さっちゃんが来る。
あまりにも怖かったのでその日は母の布団で一緒に寝た。
朝になりホッとした。
なんだ、さっちゃんの話はウソだったんだ。
母にも笑われた。
その日から枕元には何も置かずに寝た。

夏休みが終り、始業式の日。
あの入れを教えてきた友達にさっちゃんは来なかったと話した。
当たり前じゃん、来る訳ないじゃん。
友達がそう言ったのでこんな噂話を本気にしていた自分がバカに思えてきた。
始業式が終り、ホームルーム。
先生が、夏休み前に借りた本を返しに図書室に行きましょう、と言った。
クラス全員で図書室に行き本を返す。
余った時間は読書をしなさいと先生が言った。

俺が読みたい本は棚の高い位置にあり届かなかったので先生に頼んで取ってもらった。
先生が棚から本を取ると、その棚から一枚の紙切れが落ちてきた。
あのバナナの絵だった。
長文失礼しました。

前の話へ

次の話へ