生きていく意味なんてあるのか?

531 :本当にあった怖い名無し:2006/08/11(金) 03:33:58 ID:KiWN1CF20

これは私が高校を辞めた頃の話です。
当時私は10代の少年少女にありがちな、「この世には絶望しかない、自分には何にもない、生きていく意味なんてあるのか?」というようなことを悶々と考える日々をすごしていました。
そんなことを考えていた私は、ある日の夜中、ふと外の空気が吸いたくなり、自転車に乗り家を飛び出しました。
私の家は田舎で、家の前は田圃、裏は畑、少し行くと山がある、そんな場所です。

私は何を思ったのか分からないのですが、近所のA山というところの中にあるK公園という所に行きました。
その公園は山の中腹にあり、山のふもとで自転車を降り、そこから徒歩で山を登らなくてはいけないのです。
私は無意識にA山に向かい、ふもとの駐車場で自転車を降り、そこから歩いてK公園に向かいました。
20分くらいでしょうか。真っ暗の山道を懐中電灯も持たずに私は登りました。
今思うと不思議なのですが、そのときは暗い山道もまったく怖くありませんでした。

しばらく行くと開けた場所に出ました。そう、K公園に着いたのです。
私はそこにあるベンチに何とはなしに腰を下ろしました。
そこにはサッカーのゴールとベンチと時計と時計を照らす外灯があるだけです。
ふと時計に目をやると、夜中の3時を過ぎた頃でした。

少しぼーっとしていた私は、何故か急に生きていくことに矛盾を感じ、「死のうかな・・・。」とバカなことを考えていました。
そのときふいに強い視線を感じました。
隣を見ると、自分の座ってるベンチの横に見知らぬおじいさんがいました。
そんな時間におじいさんがそんな場所に来る理由が無いので、私は「あぁーこの人は生きてる人じゃないんだなぁ。」と思いました。
そのおじいさんは私のほうを向いて言いました。
「まだ若いんやから死んだりしたらあかん。お前にしかできひんことってのがあるはずや。辛いことや苦しいこともたくさんあるけどな。頑張って生きやなあかんぞ。」
そのおじいさんは優しい目をして私にこう言うとその広場の隅の方に歩いていき、そしてサッカーゴールの横を通り、スーッと消えてしまいました。
私は「やっぱり死んだ人やったんやぁ。僕も頑張って生きてたら生きる意味とか分かるんかなぁ。」と思いました。

その広場から見る空にはきらきらと星が輝いていました。

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