登戸の廃墟病院

416 :クワズイモ ◆mwvVwApsXE :2006/08/08(火) 18:42:44 ID:qTpoAMB30

いまはもう無いけど登戸の廃墟病院知ってる?
そこで俺の知り合いが廃墟写真撮ってたんだ。
そいつは廃墟マニアであの軍艦島に単独渡航したってくらいのマニア。
丁度いまぐらいの季節で、夏草が生い茂ってる写真だったのを覚えている。
一枚めくり、二枚めくり、結局36枚全部見た。
雰囲気があっていい写真だったので俺は絶賛した。
だけど友人は浮かない顔をしていた。
「なぁK(俺)気がつかなかったか?」
と彼が言うので
「何に?幽霊でも写っていたかw」
って聞き返すと「本当に気づかなかったのか?」と強い口調で詰問するので
俺はもう一度見直してみた。
夏草の中に埋もれゆく廃墟の写真があるだけだ。
「なにもないで?」
と俺は写真を返した。

本当に何か写っていたらオカルト好きの俺が気がつかないわけがない。
「何もないってw」
と一笑に付した俺に向かって友人は一枚の写真を持って指さしをした。
そこには車椅子が写っていた。
「車椅子がなぁ・・・写ってるんだ」
「そりゃ病院の廃墟やもん写っていてもおかしくないよ」
「それがな、全部の写真に車椅子が写っているんだよ・・・」
そりゃありえない。
場所も時間も違う写真全部に車椅子が写り込むのは不可能だ。
友人に指摘を受けながら丹念に写真を見てゆくと確かに車椅子らしきものが写り込んでいた。
一台まるまる写っているのもあれば、車輪の一部だけの写真もあった。
あり得ない。
とにかくどの写真にも車椅子が断片的に写り込んでいた。
「寺へ持っていった方がいいんじゃないか?」
俺はそう警告して、友人の身の保全を図った。

後日、友人は近所の寺へ写真を持っていき炊きあげてもらったそうだ。
病院。
生と死が交錯する場所。
うち捨てられた廃墟の病院。
念が写り込んでもおかしくない場所に友人は写真を撮りに行ったのだ。
それから一ヶ月友人は事故にあった。
股関節脱臼で車椅子生活を余儀なくされた彼は何故か照れくさそうにこう言った。
「車椅子のたたりだ」
と。
それきり彼は廃墟に行くのをやめた。
写真も本格的にはやっていないそうだ。
廃墟にもいろいろある。
でも確実に言えるのは、廃墟には人がかつて居て、その念が残っているところなんだと。
その念はいい物ばかりではないと言うこと。
無念の念もあり、いい念もあると言うことを。

おもしろ半分で廃墟に行こうとしている皆さん。
気をつけてくださいね。

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