調子が悪い

477 :本当にあった怖い名無し:2006/07/11(火) 12:15:37 ID:Ww3Y+fZ70

久しぶりに知り合いと会って飲んだ時にこんな話を聞いた。
同僚の話らしく、以後Aとする。

Aは優秀な社員で、営業成績もすこぶる良かった。
彼にあった人間は必ず良い印象を受けるし、性関係も充実していたらしい。
そんな彼と知り合いは旧知の仲であり、良き相談相手でもあった。
毎日のようにAと知り合いは一緒に飲んで寮へと帰る。
寮での付き合いやらもあるので、
二人はいつも日が落ちる前の夕方に帰ることにしていた。

そんなある日、Aが知り合いに相談をしてきた。
「なぁ、最近俺の調子が悪いのに気がついているか?」
確かに、ここ数日から体調も精神も優れない様子だった。
知り合いは多分疲れているだけだ、
これからはなるべく早く帰るようにしようとAを気遣う。
Aと知り合いは酒を飲まず、そのまま寮へと帰ることにしたが、
Aの様子はやつれていくばかりだった。
仕事も休むことが多くなり、ついに仕事に来なくなったAの部屋に
知り合いは押し入り、話を聞くことにした。

Aの部屋は真っ暗だった。
電気消し、カーテンを締め切り、まるで光を恐れるかのように。
知り合いはカーテンを開け、Aにどうした?病院へは行ったのかと聞く。
Aは目を虚ろに下を向けたまま、口をわなわなと震えさせ何かをつぶやいている。
「・・・・・だめだ・・・・・・食われる・・・・・・・・」
「・・・・・・・・助けてくれ・・・無くなってしまう・・・・・・」
何かの精神病のようにつぶやくAを知り合いは
部屋の外へ連れ出し、日の光を浴びさせた。


Aは久しぶりの日の光に少しだけ生気を取り戻したように見えた。
落ち着いたようだ、と知り合いはAを病院へ連れて行こうと
歩き出したが、Aはやたらとビクビクして後ろを気にしているようだった。
知り合いは仕方なしにAを引っ張ろうとしたが、
Aが何かを決心したように後ろを振り向いた途端

「ああああああああああああああああああああああああああああ」

叫び、倒れた。
Aは意識を喪失したように口をパクパクさせていた。
聞き取りづらかったが、知り合いはなんとか耳をそばだてて聞き取った。
「・・・・・かげ・・・・・・・・・・・・」
その後、救急車で運ばれたAは人事不肖のまま病院のベッドに寝ているらしい。

知り合いはこの話をした後、ベロベロに酔っていたようで
俺は知り合いの自宅まで送っていくことにした。

地元なので距離はわりと近かった。
「ありがとう、もう家は近くだからいいよ」

知り合いと別れ、帰り道につこうと歩く。
街灯の明かりの下の自分の影が揺れた。
ん?酔っているのか影が二つに交差して見える。
いや、後ろに誰かいる!
振り向くと、知り合いがいた。
「おう、忘れ物だ」
俺の携帯を届けに来てくれたらしい。
礼を言い、また飲もうなと別れを告げた。
知り合いは笑い、影を見ながら帰路へと向いた。
別れる間際、知り合いは言った。




「おまえのかげ、 も ら っ た ぞ 」

前の話へ

次の話へ