夢と兄貴

442:本当にあった怖い名無し 2007/07/27(金) 13:15:48

どっかの馴れ合いサイトで聞いた話

兄貴が死んだ 交通事故だった。
兄貴は俺なんかよりずっと頭も良くて勉強もできてなにより人格者だった。

なのにアホな未成年のDQNにバイクで跳ねられて死んじまった

何か泣けなかった。兄貴が死んだ気がしなくて ふりかえればまだそこに居るようなきがして…

兄貴が死んで二年後の夏。俺は何人かのサークル仲間と肝試しに行った。
無縁仏ばっかりあつめてろくに掃除もされちゃいないどっかの国営の墓地だったと思う。
開始時間はお約束と言っちゃなんだが丑三つ時 午前二時だ。

はっきり言えばべつに何もおこんねーだろ としか思っちゃいなかった。
家はクリスチャンの家系だし俺はもう洗礼もうけていた

それより眠気の方が強かった。

みんなで二人に別れて時間をずらして出発した。
俺は二番目だった。

一緒だったのは化粧と香水べったりのいかにも馬鹿っぽい女でべたべた引っ付いてきやがる。
相等ウザイが無視する方が賢明だと思ってさっさと墓地を抜けるべく早足で歩いた。

墓地はそれなりに広い。まっすぐ突っ切って出口で合流。ただそれだけ。

半分ほど抜けたころだろうか、頭でぼんやりそんなこと考えてたら何か固い物を思いっきりけっ飛ばしてしまった…
俺が蹴ったのは…なんだこれ。陶器っぽい欠片の山と布…?

携帯のライトじゃ光量が弱くて何が何かよく分からん。目をこらして見ると布は小さな着物の形をしていた。
赤い帯の巻いてあるなかなか立派なやつだ。だが凄まじくぼろかった。

陶器…着物…

ああ、陶製の日本人形か。良く見れば髪らしき黒い糸も転がってた

多分お供えか、それともあの世へのおともか…とりあえず悪いと思ったから小さく十字を切って一礼

連れの女がやかましかったのでさっさと戻り、数分で墓地を抜けた。
出口には先発隊の二人が携帯をいじりながら待ってた。

それからは何もなく、フツーに家に帰って祈りを捧げて寝た

あ、いや。家の近くで小さな女のこっぽい影をちらっと見た。こんな遅くに親は何やってんだか…

最近やたら猫があちこちかぎまわってる。イタチでも侵入しているのだろうか。

夢をみた。普通だろと言われたら普通だが問題は内容だ

なんとなく夢だな~と分かるおかしな夢 場所は明るかったが肝試しをした墓地だった。
目のまえで小さな髪の長い女の子が俺に背を向けて泣いている。腕は胸の前で何か抱いているようで見えなかった。

小声で何かブツブツ言っている…

かえして かえして 

かえして?帰して?迷子か?

俺が声をかけようかと思ったとき、女の子が振り返って言った

私の…『  』返して

女の子の顔は覚えてない。ただ…恐ろしかったのをおぼえてる…

それからは毎日その夢を見た。ノイローゼーで死にそうだ

両親や友人に言うわけにもいかず。俺は悶々とした日々をすごした。

また 夢を見た。あの墓地だ。
俺は何かから必死に逃げている、何かはわからない。

ぱたぱたサンダルが地面を打つ音が聞こえる。多分あの女の子なんだろう

逃げに逃げたがついにバテ、追いつかれて強引にふりむかされる。凄い力だ

相変わらず顔は覚えていない

だが

かえせ!!!!!!!!

ものすごい勢いでそう怒鳴られてようやく目が覚めた…

汗だくでベットの上に転がってた俺を心なしか心配そうに我が愛猫が見下ろしている。
顎をなぜつつ上体を起こすと安っぽいメタルラックが目に入った。

メタルラックには写真を飾ってある。その写真のなかで一個だけ写真立てが倒れてた。
黒縁の小さな写真立て。起こすと写真たてのなかでお気に入りのダークスーツを着た兄貴が笑ってた。

兄貴……助けてくれよ…

ちょっと涙がでた

また…夢を見た…

相変わらずの昼間の墓地。だが、あの女の子は居なかった

代わりに、写真のまんまの…兄貴が居た。どこかあきれたような顔だった

「兄貴…」

「またえらいもん引っ付けたなお前も」

兄貴が何がいいたいかはわからないが、かなりあきれてるのは確かだ。

「まあ良い。もう馬鹿なまねはするなよ。あれは俺が連れって行くから」

連れて行く?どこに?

聞こうとした瞬間後ろで何か動いた。あの子だ…

背筋に悪寒がはしり汗がぶわっと噴き出す

振り返ろうと思った時に兄貴が何か言った。聞こえなかった。
相変わらずの昼間の墓地。だが、あの女の子は居なかった

代わりに、写真のまんまの…兄貴が居た。どこかあきれたような顔だった

「兄貴…」

「またえらいもん引っ付けたなお前も」

兄貴が何がいいたいかはわからないが、かなりあきれてるのは確かだ。

「まあ良い。もう馬鹿なまねはするなよ。あれは俺が連れって行くから」

連れて行く?どこに?

聞こうとした瞬間後ろで何か動いた。あの子だ…

背筋に悪寒がはしり汗がぶわっと噴き出す

振り返ろうと思った時に兄貴が何か言った。聞こえなかった。

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