遠縁にあたるお爺ちゃん

900 :①:2006/06/22(木) 18:09:06 ID:3WtIZCf6O
調子に乗ってまた投下。
これは俺のおふくろが体験した話。

近所に遠縁にあたるお爺ちゃんがいた。このお爺ちゃん、脳卒中を患い、歩行は杖の力を借りねばならず、なおかつ言葉もモゴモゴで家族でないと聞き取れないような喋り方だった。

ある日の事、家から少し離れた畑から農作業を終えたおふくろが家に帰ってくる途中、そのお爺ちゃんが道端に立ちつくしてたそうだ。
“どうしたのか?”と聞いても、顔中汗だらけでモゴモゴ話すばかり。
“家に帰るのか?”と聞いたら頷いたので、
“おぶってってあげる”と、なったらしい。
最初は首振って断ったらしいが、結局は1kmくらいの道をおんぶして家まで送ってったそうだ。
途中、質問形式で聞いたら、バスで町まで行ったが、帰りタクシーに乗ろうとしても行き先の言葉が通じず、駄目だったとの事。杖つきながら片足引きずり帰ってきた訳だ。

そんなお爺ちゃんも、数ヶ月後は寝たきりになって亡くなってしまった。

お爺ちゃんの葬儀が終わった日の夜、おふくろが寝ていた時、なんとなく目が覚めたらしい。
寝直そうと思い寝返りうった時、押入の前に白い人影がたっていたそうだ。
“お爺ちゃん?”
まぎれもなく、そのお爺ちゃんだったらしい。全然怖くはなかったそうだ。
白い着物を着たお爺ちゃん、ニコニコ笑って、おふくろに
“あの時はありがとう”
と、頭の中に話かけてきて、ニコニコ笑いながら消えてったらしい。
おふくろは何故か涙が流れたと言っていた。俺もちょっと感動した話。
以上です。

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