シンちゃん

778 名前:本当にあった怖い名無し :2006/05/09(火) 11:36:08 ID:uCZWsGlXO

子供の頃、近所にシンちゃんと言う人がいました。
知的障害者だったんでしょう、定職にはついていませんでした。
毎日、町中歩いて、拾ってきた新聞紙・ビールやジュースの空き瓶をリヤカーに積んで廃品回収業者の所へもっていって
日銭を稼いでいました。

よく下校時に会ったんですが、よくふざけてからかったりしてました。
飲んでたジュースの空き瓶をシンちゃんのリヤカーに投げ込んだり、逆にリヤカーから空き瓶をパクったり。
それでもシンちゃんはあまり気にしていませんでした。
いつでももくもくとリヤカーを押していました。(シンちゃんはリヤカーを引かずに押していたんです。だから、僕らがリヤカー
にいたずらしているのは知っていたんですが。)

ある日、隣のクラスの奴でしたが、なんか機嫌が悪かったんでしょう、シンちゃんにとてもここでは書けないようなとても
ひどい差別的表現を含んだ暴言を吐き、リヤカーに積んであった空き瓶を道路にぶちまけ粉々に割ってしまいました。
もう売り物にはなりません。
それでもシンちゃんは怒ったりしませんでした。

奴はさらに道路の向こうから、シンちゃんの両親のことを馬鹿にするようなことを叫びました。
その瞬間です、車がよゆうですれ違えるくらいの道路でしたが、シンちゃんはいきなりジャンプしてやつの眼前に着地し
多分奴のことをにらみつけて何か言ったんだと思います。奴はすわりこんで泣いていました。

僕らは何も言えず呆然としていました。シンちゃんは一歩で5mはあるんじゃないかという道路を飛び越えたんです。
助走なしで。

それから僕らはシンちゃんには近づかないよう学校からきつく指導されました。
当然親からもきつく言われました。
「シンちゃんは狐憑きだから近づくな」と。

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