富士の演習場

560 名前:本当にあった怖い名無し :2006/05/02(火) 03:34:18 ID:ihNwle/0O

これは、自衛隊に勤める人から聞いた話です

今でこそ、ゲリラ戦を研究する部隊とか、特殊作戦群といった特殊部隊的な部隊がありますが、ちょっと前まではそう
いうものはありませんでした。
レンジャー部隊ってのがあったんじゃね?と思う人もいると思いますが、実際はレンジャー資格を持った自衛官が各
部隊にいるというだけで、レンジャー部隊はありませんでした。

レンジャー資格を取得するためには、数ヶ月にわたり教育を受けなければなりません。この教育中におきた事件です。

この教育も終わりに近づき、数日間かけての演習が行われました。首都圏の部隊員を対象にした教育でしたので、
演習は富士の演習場で行われました。
敵の通信施設等に潜入し、破壊するという設定でした。
その潜入の演習です。
コンパス(方位磁石)を頼りに目的地点へ到達するという課題が出されました。
場所は青木が原樹海。
課題の行程も終盤、あとはほぼまっすぐ進んで樹海を抜けるだけ、気をつけなければいけないのは、一般道にでる
時に、誰にもみつからないようにするだけです。
かつて、うっかり民間人に見られてしまったため、敵に捕虜になったとされて、裸にされて木に縛り付けられた隊員が
いたそうです。仲間に救出されるまで、教官たちにとても恥ずかしくて書けないようないたずらをされたそうです。
そういうことで、あと少しでゴールではあっても、気持ちは引き締まっていました。

潜入演習も最終行程に入り、小休止した後出発することにしたんですが、そのとき急にあたりはガス(濃い霧のような
もんですね)がたちこめてきました。伸ばした手の先も見えないんじゃないか?っていうくらいに。
帯同していた教官は、このまま演習を続けるかガスが晴れるまで待つか迷いました。ちょっとくらいのガスなら迷わず
続行ですがね。
教官は訓練本部から指示を受けようと思い無線を手にしました。すると、無線機からは突然音楽が鳴り始めました。

『日本のミナサンこんにちはこちらは平壌放送です。』
みんなずっこけました。
『それでは1曲目○○をお聞きください。』
無線機からは朝鮮っぽい音楽が流れてきます。
妨害放送ですね。富士ではたまに、自衛隊の無線を妨害するためにこういった違法電波が流されます。
出力が強いので無銭通話ができなくなるのです。2~3時間は続きます。

これでは本部に指示を仰ぐ事はできません。
教官はとりあえず進むことにしました。たいして距離は残っていないし、まっすぐ行くだけです。
まっすぐといっても障害物をよけながら蛇行しては行きますが、歩測をし、コンパスで方角を確かめながら
行くので何とかなると判断したんです。
富士の樹海ではコンパスが使えないと思っている人がいると思いますが、そんなことはありません。普通に
使えますよ。

しばらくして、そろそろ樹海を抜けても良いくらい歩いたところ、先頭の隊員から、さっき小休止した場所に
戻ってしまったらしいと報告がありました。どうもルートを間違えたらしいのです。
教官は確かにさっき小休止した場所であることを確認すると、先頭を交代させて再出発しました。
でも、二人目も同じ場所に戻ってしまいます。
ガスのせいだろうか?と考えた教官は、ガスが晴れるまで待機することにしました。

無線機から平壌放送が聞こえなくなりました。妨害放送が終わったようです。同時にガスも晴れてきました。
訓練本部から状況を報告するよう連絡が入ります。とっくに到着していなければならない時間です。
教官は状況を説明しました。すると訓練本部からガスなんて出ていないと返事がありました。
でも、確かにガスが出ていて、同じところに戻ってしまったのです。ありえない話です。
すると、訓練本部にいた古参の教官が、「ちょっと周りを調べてみろ、あるかも知れんぞ。」と言いました。

言われたとおりに教官は、訓練生に周りを調べるように指示します。

たしかにあったそうです。小休止した場所から4~5mしか離れていないところに首吊り死体が。

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