心霊師匠っぽい自分を演出

541 名前:1/4 :2006/05/01(月) 03:10:48 ID:pNyhfFDP0

「洒落にならない」スレの、師匠シリーズで思い出しました。

私は、小学校から高校の一時期にかけて、ときどきですが、
心霊師匠っぽい自分を演出して、友人をからかっていたことがありました。

心霊関係の話題になると、なるべく軽い感じで、
「その話はちょっとねえー」とか言ったり、
「それは、うーん、まあいいや」と言ったりして、
微妙に思わせぶりな態度をとりつつ、
心霊探検やら交霊ごっこには「子供じゃないんだから」と言って
絶対に関わらないというスタンスを維持し、
「ひょっとしたらあいつこそ本物なのでは」
と思わせる遊びをしていたのです。

これだけ抜き出して書くとイマイチ効果なさそうですが、
細かいことを丁寧に演出してやると、結構ひっかかるやつはいたのです。
実際、何人かは、そう思ってくれていたようで、ちょっと面白い遊びでした。

ひっかかったやつの家に遊びに行ったときに、
何も言わずにふっと天井の方に視線をやったり、
玄関で靴を脱ぐときに微妙~な位置に揃え直したりしてやったら、
かなりビビってしまい、可哀相だったこともあります。
(将来は心霊商法でもやったら成功するかもな)
と考えたこともありました。

しかし実際には、心霊屋にも占い師にも、詐欺師にもなっていません。
当たり前と言えば当たり前ですが、しかし、そんな将来を考えるのを
キッパリとやめた具体的な理由があるのです。

それは高一の冬に、友人と歩いていて、その遊びをやったときのことでした。
大きな橋の真ん中で川の中を見下ろしているおっさんがいて、
それを遠くから見た友人と私が、「何をしてるんだろう」と軽く話題になったのです。
そこで悪い虫が起こって、私は友人をからかいたくなったのです。
私は言いました。
「おっさん自身は気付いてなさそうだけど、危ないかもねえ」
すると、その友人はそんなに阿呆じゃなかったので、
「またそういうこと言って、Aとかだったら信じて止めに行っちゃうぜ」
等と突っ込んでくれたと記憶しています。
私も、知らないおっさん相手とは言え、無関係の他人をネタにしているのですから、
この友人がそういうのにひっかからないのを承知でからかったのでした。

しかし。
暫く経って、私たちが橋の中ほどまで辿り着いて、
まだそこに居たおっさんを通り過ぎたそのときです。

背後で橋の欄干を一気に駆け上る音が聞こえました。
私と友人はぎょっとして振り向きましたが、おっさんはもう飛び降りていました。
私たちは大慌てでその辺の車を停め、携帯電話で警察に連絡してもらいました。
(そんなに昔のことじゃないのですが、うちの高校で携帯電話を持っているやつは稀だったのです)
幸いにしておっさんは怪我で済んだそうですが、新聞によれば「動機は不明」だそうでした。

それ以来、私は、オバケをネタに人をからかうことをやめました。

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