くる!

194 :1:2005/06/19(日) 02:28:14 ID:nygdFKIR0

ウチの従兄弟の叔母さん(母の姉)は、ちょっと頭おかしい人でね。 
まぁ一言で言うと、「時々、昔死んだ彼氏が私を呼ぶのよ」って台詞を、
親族で飯食ってる時とかに平気で言う人でね。 
2年くらい前から、「離婚したい」が口癖だったんだ。 

そいで、3月にその叔母さんの娘が大学に合格して、
じいちゃん(母方)の家で親族で集まって、合格祝いしたんだよ。
最初は和やかな雰囲気だったんだけど、暫らくすると叔母さんがまた「離婚話」を始めてね。旦那子供の前でね。 
旦那さんはホントすげぇ良い人で、どんだけ良い人かってーと、長くなるから割愛すっけど、とにかく出来た人でね。
その「離婚話」ってのが、いかに叔母さんの勝手な話かってのは、
叔母さんの母親である家のばぁちゃんとじいちゃんが、旦那さんに泣いて謝る位なんだ。 

祝いの席で始まった離婚話。 
最初はみんな「またかよ...」ってスルー方向だったんだけど、
ふと叔母さんの娘の方見ると、なんかすげぇ泣きそうだったのね。 
もう恥ずかしくてしょうがない、みたいな感じね。
娘はすごい頑張り屋で、ホント今時珍しい位イイ子でね。
普段の彼女知ってるから、なんかそれ見たらスゲェ腹が立ってきた。
さらにじいちゃんも真っ赤になってて、今にもブチ切れそうだったから、
チィキショイ!!俺がやってやるぅ!って思って、
「叔母さんいい加減にしろよ?(中略)みっとも無いぞ?」的な言葉を言ったわけです。
えぇ、ぶちまけましたよ。親族代表としてね。 

あん時の叔母さんの顔は、今でも忘れないね。
最初、真っ赤になった顔が一気に真っ青になって、
俺が喋り終わるや否や「あんたみたいなガキに何が分かるってのよっ!!」って超シャウト。
ホント内心すげぇ怖かったけど、
でも「よく言った!」って顔してる親族一同の顔見たら、ここで退いたらダメだと思って、
尚も喋り続けたら、ホント顔面蒼白になってね。
叔母さんがふらつき出したんだ。 

流石にこれ以上はヤバイかな?って思ったウチのママンが、
「それ位で・・・うん、先に帰ってなさい」って、俺ら子供集を家に戻るように促したのね。 
因みに、ウチとじぃちゃん家は同じ敷地にあって、徒歩10秒ぐらいなの。 

んで、俺と姉貴と弟と従妹とで家に帰って、4人でゲームやってたんだ。 
従妹にはホント何度も謝ったんだけど、逆に「ありがとう」とか言われて、
姉貴と弟には「よく言ったw」とか言われて、正直まんざらでもなかったんだ。 

暫らくするとウチのママンが戻ってきてね、開口一番にこう言ったんだよ。
マジで一言一句忘れもしない。
「いますぐ荷物まとめて、おじいさん(親父方)のとこに逃げなさい」

「は?何?何かあったの??」 
ワクワクが隠せない姉貴と弟の声のトーンとは超対照的に、ママン声のトーンは低くてね、
とりあえず従妹に遠慮して、廊下で2人で話してたんだ。 
「あの後は、もうアンタに対する罵詈雑言の嵐よ。
 罵詈雑言なんてモンじゃないわよ。『殺す』って言ってたわ。
 もう誰が何言っても聞きやしないし、今晩おばぁちゃんの家に泊まるみたいだし」 
遠くから聞こえる桃鉄のBGM。 
あんなに暗く聞こえたのは初めてだった。 
とりあえず色々突っ込みたい事もあったけど、「まさかw?」って笑って部屋に戻ったんだ。 

その後、おじさんが来たり色々あったんだけど、結局11時頃には、おじさんと従妹は叔母さん残して帰ってね。 
んで、3時ぐらいにはママンもパピーも弟も寝てて、俺と姉貴2人で映画観てたんだ。電気消してね。 
そしたら庭の方から、砂利の上を歩く音がしてね。
もうそん時は、前おき無しで俺も姉貴も直感したんだ。 
「叔母さんだ・・・」 

映画の音量下げて、耳凝らして外の音聞いてると、確実に俺の部屋の窓んとこグルグル回ってんだよ。 
最初は面白半分で笑ってた姉貴も、急にマジになってさ、
「アタシが上手く足止めするから、裏口から逃げろ!
 んで、すぐ車庫に行け!こりゃホント冗談じゃないよ」 
とか言い出す始末でね。
俺も軽くパニくって、何かバッグに下着とか詰め始めてね。
とりあえず車のキーと財布と携帯と煙草持って、裏口でスタンバイしたんだ。

そんで、同じタイミングで外に出る俺と姉。 
俺の部屋の窓と車庫は7mぐらいあって、
今のままじゃ下手すりゃ、車に乗ろうとすると、叔母さんと鉢合わせになっちゃうんだ。 
だから物陰に隠れて耳を凝らしていると、姉貴の声が聞こえてきた。
「叔母さんどうしたの、こんな時間に?」

そっから先は姉貴の声しか聞き取れなかったけど、なんか段々声が離れていった感じがしたのね。
そんで、時折笑い声とかすんの。 
さすが姉貴は叔母さんに超好かれてるだけあんな!とか思いながら、
ダッシュで車庫に行って、車のエンジンをかけたのね。
よし!行けるっ!と思い、ギアをバックに入れてライトを点けると、
物凄い顔をした叔母さんの姿が映ってたんだ。 
あの瞬間は本当に背筋が凍った。
だってさ・・・作業用スコップ持ってたんだもん。 

そっから先は鬼バック。急発進。 
チャーリーなエンジェルも真っ青なフルスロットル。 

近くのコンビニに着いて、速攻姉貴に電話をすると、
「いやスコップですよw!でもやっぱ完全に、殺意の対象はお前のみ。
 アタシとか全然笑顔でトークしてたよ。
 あの酒席で、誰もお前の事をフォローしなかったのは大正解だったねw」
と大爆笑な姉。
「殺意の対象が俺のみじゃなかったら、あんな無茶な事しねぇよ」 
とか言いつつも、内心家族が心配で、その日は姉貴と弟に寝ず番を。 
もち武装した状態で。

そして、明け方着いた祖父の家で、自分の車を見てビックリ。 
傷だらけ。引っかき傷だらけ。 
つか叔母さんさ・・・車庫にいたのかよ・・・ 

叔母さんはその数日後、神奈川だかの病院に入院して、今は退院して元気だそうです。多分。 
それまでいろんな心霊スポット行ったりしたけど、生きてる人間が一番怖いです。

前の話へ

次の話へ