A子ちゃん

162 名前:本当にあった怖い名無し :2006/01/03(火) 15:27:24 ID:E9p8PtAd0

大学のとき、予備校で1人の女の子(A子ちゃん)を教えていました。
A子ちゃんは関西では有名な進学校卒でしたが成績が芳しくなく、とても無口な子でした。
4月下旬、化学の問題集をコピーして彼女に渡したところ、急にニヤニヤと笑いだしました。
「どうしたの?」と訊くと彼女は「ゲーリュサックってコンドームみたいな名前やなぁ」とポツリ。
となりにいた数人の男の子たちも大爆笑。まわりに漂っていた緊張感が一気に消え一転和やかムードに。
その時は「この子ほんまは明るいええ子なんやろなぁ」と思っていたのですが・・・。
しかし5月の連休明け・・・彼女は予備校に来なくなりました。
理由は“バカにされたから”・・・だそうで・・・。
何だか不愉快でショックだったので私はバイトをやめたのですが、あまりにも後味が悪かったので「辛いときはいつでも相談に乗るからね」というメッセージに自分の携帯番号を添えて彼女の自宅に郵送しました。
11月中旬、午前1時過ぎ・・・突然私の携帯が鳴りました。深夜だったし怖かったので出ずにいると、留守電にメッセージが・・・。
ずいぶん泣いている様子で「~もうあかんわ。死んでまうかも・・・」。
~の部分がどうしても聞き取れず、大学の友達にそれを聞いてもらいました。
すると一人の子が突然、「これ、絶対A子って言っとぉで。」
私は毎日不安で眠れない日が続き、ついにCFSという病気になってしまいました。
1月、相変わらず体調不良で外に出るのも辛かったのですが、A子ちゃんはもっと辛い中頑張ってるんだと思い、合格祈願に行きました。
するとそこでA子ちゃんにばったり。
「A子ちゃんの合格祈願に来たんやで」と言うと彼女は涙をポロポロとこぼし、
予備校に来なくなったのは模試の成績が酷くてB子さんに絶対無理だと言われたためだと教えてくれました。
その後A子ちゃんは驚異的な頑張りで第一志望の大学に見事に合格。
A子ちゃんは今塾の講師をやっていて、私は子持ちながら再び受験生となりました。
立場が入れ替わってA子ちゃんに勉強を教わっています。

「先生の手紙がなかったら、私は絶対B子をナイフで刺してた。」

涼しい目でそう語る彼女とは一生付き合えそうです。ありがとう、ゲーリュサック。

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