やさしい患者さん

817 名前:本当にあった怖い名無し :2005/12/16(金) 01:02:41 ID:4H1MmrFi0

某大学病院で医者をやっています。

胃がん末期(未告知)の患者を受け持ちました。
もう今日は危ない、という日に、どうしてもはずせない外勤があり、
「やばかったら電話してください」と看護婦に告げて、出かけました。

車で外勤先に向っている最中に看護婦から「先生、○○さんアレスト(心停止)です」と
電話があり、あわてて引き返しました。病院に戻ったときには既に当直によって死亡確認済みでした。
死亡時刻は9時36分。
そのあと、書類を書いたり、お焼香をしたり、全てが終わったのが確か1,2時間後でした。
さあ帰ろう、と、ふと携帯電話を覗くと、表示されている時計の時間が9時36分。
あれ、そんな時間だっけ、と病棟の時計を見ると11時過ぎ。
何度携帯を見ても、9時36分なのです。おまけにどのボタンも操作不能。
ロックをかけているわけでもないのに。携帯の時計ってデジタル表示で、アナログみたいに
止まるってことが不思議で、ていうか看護婦から「アレスト」って電話があった拍子に
携帯が壊れたと考えても9時36分より前だったし・・・
結局バッテリーをはずして、もう一回つけたら今度は正確な時間が表示されて、
何事もなかったかのようでした。
患者さんが教えてくれたのかな、俺もう逝くよって。
いまだに謎です。
でも不思議と怖くない。やさしい患者さんだったからなー。

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