葬儀場に泊まる

619 名前:1/2 :2005/12/07(水) 17:21:31 ID:u+FGL7eJ0

自分が中学生の頃父親が事故で亡くなった時の話。

自宅では無く、火葬場併設の斎場で通夜葬儀をやった。
通夜の夜は親族が誰か斎場に泊まってくれとの事で、母と自分が泊まる事になった。

突然の事故だったのと、それ以上に葬儀場に泊まるって言う特異事態でほとんど眠れなかった。
そんなだから当然、母も自分も朝早くに起きてしまい、定期的にお線香焚く以外やる事が無く2人でぼーっとしてた。
突然の事故ではあったけど、諸事情で亡くなってから1週間近く経っての通夜って事で精神的には結構落ち着いてたし、
何より暇だったんで葬儀会場をジックリ見物する余裕が。

そこで目に付いたのがでっかいガラス窓。て言うかガラス壁。
壁の一枚がまんまガラスなんだけど、真冬の早朝(4時~5時くらい)だから外は真っ暗で何にも見えない。
通夜の時は忙しかったし、人も一杯居たから気にならなかったんだが、たった2人(とーちゃんの遺体含めると3人だけどw)になると
ものっそい存在感。そしてものっそい気配。ガラス一枚へだてた、真っ暗な空間に。
何か妙な感覚で、自分はその暗闇をしばらくの間凝視し続けた。
そして母に、「こっちって何があるのかな?」と聴くと「多分何も無かったはずだけど、変に圧迫感があるわね」ってな感じの返答。
まあ夜が明ければ解るかって事で、気にはなったけど、その時はひとまずガラスから離れた。

しばらくして、母が何を思ったのか、「少し夜が明けたから散歩に行きましょう」と言い出した。
……いや母さん散歩って。ここ葬儀場よ?しかも真冬の早朝よ?勘弁してくれ……。
さすがに寒いし怖くて引き止めた。
でも母は「ちょっとだけだから、ね?あっちに行ってみましょ」とずんずん歩いて行こうとする。
自分ももう良い歳だったから怖いなんて恥ずかしくて言えなくて、何とか理由を付けて行かないで貰おうとしたんだけど
なぜか決心が固いらしく、やたら同じ方向に行こうとする。
滅多にそんな行動とらない母に戸惑いつつも、仕方ないので「防犯やなんやらのためにも泊まってくれって言われたんだから、
誰か他の人が来るまで祭壇のある場所を離れたら良くないよ!お父さんを1人で置いて散歩も良くないよ!」と至極当然の説得をした。
母はそこでやっと、でも少し残念そうに「……そうね」と諦めてくれた。

数時間経って葬儀も終わり、いざ火葬。
まあベタなオチですが。
……早朝、私が凝視し続けたガラスの先。
母がやたら行きたがっていた方向がまさに火葬場でした。・゚・(ノД`)・゚・。

偶然と言ってしまえばそれまでなんだけど、その時はほんのり((((;゚д゚)))))ガクガクブルブル

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