車体の下

803 :本当にあった怖い名無し:04/10/20 16:55:32 ID:rK4Syj4L
2年前の話。 

夜半、車で雪の峠道を走っていると、突然チェーンが外れた。 
降りて見てみると、後輪の向こう側で、外れたチェーンがプラリと垂れ下がっている。

ホイールハウスに手を突っ込み、手探りで繋ごうと四苦八苦するうちに、
指先に柔らかいモノが触れたかと思うと、いきなり掌を掴まれグイッと引っ張られた。
思わず足を滑らせて転ぶと、車体の下を覗き込む体勢になった。 
子供がいた。ニヤニヤと笑いながら、両手で私の手を掴んで放さない。
小学生のように見えたが、掴まれた手を振りほどこうとしてもビクともしなかった。

もがくうちに、頭上でミシリとイヤな音がして、車がゆっくりと動きだした。 
エンジンはかけっぱなしだったが、サイドブレーキは掛けてあったし、ATもパーキングに入れたあったはずだ。
勝手に動くはずがない。

後輪の前に投げ出されていた腕の上をタイヤが通過した時、
激痛に襲われながらも、そんな理不尽な思いに突き動かされ、
私は車の窓の方を見上げた。
車内から子供が2人こっちを見て笑っていた。 

30分後、たまたま通りかかった車に助けられるまで、
私は骨折によるショックと、訳の分からない恐怖で立ち上がることができなかった。
ずっと雪の上で横になっていたため、体は冷え切っていたが、腕の痛みはあまり感じなかった。
車は数百メートル離れた路肩に停められていた。 

後日聞いた話によると、十年程前に子供が3人、その山に迷い込んで亡くなったらしい。

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