どうもいるらしい

749 名前:本当にあった怖い名無し :2005/08/17(水) 21:06:45 ID:t9NX0aPu0

俺の部屋、どうもいるらしい。 
俺以外の気配がある、確実に見られてる。 
ときどきなんてモノじゃない、一日に何度もだ。 
正直、入居したときから何かあるのはわかってた。 
ときおり何かがそばを通っていくのに気付いてた。 
それでも、実害がなければいいやと思ってた。 
貧乏な俺にとって格安の家賃の方が重要だった。 

最近は違う。ただ、いるだけじゃなくなった。 
気がつくと視線を感じる。はっきりと目的をもって俺を見てる。 
どこからかもわかる。天井だ。視線はいつも上から来る。 
恐い、上を向く勇気がない。でも、もう限界。 
俺は酒の力を借りることにした、それに酔ってさえいれば何を見ても 
幻覚にしてしまえるかもしれない、 
これから見るのは酒の見せた幻覚だ、そう自分にいい聞かせて 
杯を重ねていく。また、視線が来た。 
俺は意を決して天井を振り仰いだ。 

いた。 
天井から頭がはえてた。 
多分、女。ひび割れにムリヤリ眼球を埋め込んだような眼が 
こっちを見てる。 
酔いなんて一気に醒めた。 
何だ、何かあるんだろ?そう喚きたいけど、声が出ない。 
それでもヤツはわかったらしい。 
ギギッ、とでも音を立てそうに、やっぱりひびのような口が動く。 
視線はずっと俺に向いてる。 

「……テ…ッ」刃物同士を擦り合わせたような声、 
その声を聞いたとたん、凄い勢いで理性が削られていく気がした。 
知りたくない事実を突きつけられる予感、だけどヤツの口は止らない。 
止めろと叫びたい、声は出ない。 
そしてヤツは言い切った。 





「テッペンさ、禿げてきたよね」 

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