宮沢賢治の文庫
291 名前:ズケン ◆eutFC0H/K6 :2005/07/10(日) 16:13:27 ID:Z91TDKNX0
自分が体験したなかで、一番ほんのり怖い話をさせてください。
5年前の事です。
当時すんでいたアパートの近所にある、個人でやっている小さな古本屋から
一冊の文庫本を買いました。
宮沢賢治の短編集です。
自分は本を読むとき、必ずカバーを外して読むことにしているので、いつもの
とおりカバーを外しました。
するとカバーの裏に小さな字で、日記が書かれてありました。
うろおぼえなのですが
『○月○日 入院。××が見舞いにくる。
○月○日 ×××を投与。』
といった感じに、メモのように二十日分ほど記されてありました。
筆ペンで書かれてあり、初老の男性を思わせる字体でした。
その日記の最後の部分に
『○月○日 明日手術。怖い。』
とありました。
そのカバー裏の半分以上は空白で、自分は
(手術終わって退院したのか。
つーか落書きした本売んなよな…。)
と少し不快になり、本を読むのを中止しました。
その後、引っ越しの準備があったり、なんだかんだと忙しかったため、結局その
本は目を通さず、購入した古本屋へ他の本と一緒に売り払ってしまいました。
それから自分は、他県に引っ越し現在に至ります。
で、三ヶ月ほど前、五年前に住んでいた所の近所に仕事の都合で訪れました。
当時住んでいたアパートはもうなくて、なんだか感傷的な気分になりました。
その古本屋はまだあって、無愛想なお婆ちゃんも相変わらず無愛想に店番していました。
嬉しくなって店内をじっくり見て回ると、
自分が売り払った宮沢賢治の文庫本と同じものが本棚にありました。
(5年も経ってるんだし、まさかあの本じゃないよな…。
でもこの店、客来ないからあり得ない話じゃないか。)
と、その本をとりだし、そっとカバーをめくってみました。
やはり、5年前に購入した、その本でした。
ただ、
『○月○日 明日手術。怖い。』
のあとの空白に
マジックの下手な字で
『そして オレは しんだ
つぎは おまえだろ?』
と書き足されていました。
自分が、売り払ったあと購入した人の悪質なイタヅラなんだとは思いますが、一瞬
こしぬけそうになったよ。
長い上、乱文ですみませんでした。