紫色の袈裟を着たお坊さん

111 名前:1/2 :2005/06/22(水) 09:55:07 ID:sL37E2lMO

私の彼は幽霊が見える。 

去年の今頃、私は彼を裏切って浮気していた。 
それに気付いた彼は私を詰問し、私は白を切り通した。 
私はトイレへ行くと言って立ち上がった。その時彼は、 
「トイレの窓の外に紫色の袈裟を着たお坊さんがいる」と言った。 
嘘だ、と私は思った。本当だとしても、私には霊感など無い。 

怖々トイレに行き、窓を見るが、誰もいない。 
安堵した私は戻り際、「お坊さんはいなかったけど、狐ならいたよ」と、少しだけ話を合わせてやろうと思った。 



彼はソファーに寝ていた。 
「トイレね、お坊さんはいなかった」 

私が声を発した瞬間、彼は飛び起きた。 

私「何!?」 
彼「いや…お前の声に、男の声が被って聞こえた」 
私「…マジ?」 
彼「嘘なんか吐かねぇよ」 

それでも私はまだ余裕だったが、嘘を吐く気は失せていた。 

彼「…お狐さまが怒ってる」 
私「はい?」 
彼「障子を開けて見ろ」 

言われた通りに開けても、何も変化は無い。 
私「何も無いよ」 
彼「何でだよ!造花が揺れてるじゃねーか」 

見ても揺れてない。 
彼「お前が見ると揺れなくなる…今揺れてる」 

言われた私はチラ見してみた。 
揺れてる…。 
顔ごと見遣ると揺れなくなる。 

怖くって全部白状した。 

それによるトラブルはまた別の話。 

因みにその彼とは今は仲良しだったりする。 

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