小さな子供が何十人

776 名前:不思議父の娘 ◆dqsUYoSNaU :2005/05/20(金) 03:18:45 ID:taM5V2uPO

少し日が空いてしまいましたが前回お話した通り、我が家の犬の散歩は父の役目です。 

父は面倒臭がり、楽観主義だ。 
そのため仕事もよく溜める。 
時間がないと半泣きになりながら書類を徹夜で完成させるなんてことはほぼ毎回だ。 
さながら夏休みの宿題を溜めた子供の図。 
そんなときでも調子が良い場合は明朝に書類が出来あがる。 
そんなある日。 
あと3時間ほどで出勤、午前4時を過ぎた頃。 
微妙な時間帯で今寝てしまえば爆睡してしまう可能性が高く、それでは出勤できないと父は散歩に出掛けた。 
中年の男が朝早くうろうろすると怪しいため(一度お巡りさんに声を掛けられた経験有り)犬を連れていく。 
薄暗い空の淵が少し明るい。 
適当に近所を歩くつもりが犬に引っ張られついつい遠出。 
町内の幼稚園まで来てしまったそうだ。 
まぁいいかと犬に主導権を預ければ幼稚園の前まで。 
ふと視界の端に動くものを見つけて幼稚園内を覗くと小さな子供が何十人も遊んでいたらしい。 
その有り得ない光景も眠気掛かる父の頭では気にならなかった。 
ただ犬を恐がる子供もいるだろうと考えそっと通り過ぎたそうだ。 
いくら朝だからと言っても幼稚園生が登園するには早過ぎる。 
それを指摘したら、 
「そういえば何十人も子供が居たのに音も声も聞こえなかったなぁ。…見間違いかな。」 
散歩しながら夢でも見たかwと笑い飛ばしてやがったが流石にゾッとした。 
父が声を掛けていたら何十人もの子供が静かな空気のまま父を見つめたんだろうか。 

夢オチって便利な言葉ですね。 
…父のよく使う言葉です。 

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