新聞配達少年

750 名前:20点 :2005/05/18(水) 22:48:01 ID:zvanDdsx0

 私は厨房の時、新聞配達少年でした。(兄がやていたのでつられて) 
時々寝坊しながらも(よく怒られました)毎日せっせと働く少年でした 
仕事にも慣れて半年が過ぎた霧の立つ夏の時 
配達も中盤に差し掛かり「ふぅ 後、半分だな」と思いながら仕事をこなしていると 
庭先でゴミを燃やしているお爺さんがボーっと火を見つめ、立っていました 
マニュアルに従い(さわやかな笑顔で)「おはようございなす!」 
と声を掛けますが返事がありません もう一度「おはようございまーす 新聞でーす」と 
さわやかスマイルで新聞を差し出しますと 気が付いたようで、お爺さんはゆっくりと向き 黙って 
新聞を受け取り、またゆっくりと火を見つめていました・・ 
私は心の中で(燃やすなよ爺さん)と思いながら次の配達先へと向かいました 

 翌日早朝、店長から指摘されました「○○さん所、配達忘れてたぞ」 
あれっ?そこ、爺さんの所だ!私は昨日の経緯を店長に話しました 
「ん?あそこは朝早く起きてるから 声掛けてみ」と言われ 
しぶしぶ玄関を開ける・・・・おばちゃん怒ってました 
新聞少年に、そんなに言わなくっても・・・彼女の怒りが治まった頃、昨日の事を話しました 
おばちゃん何故か突然立ち上がりカレンダー見た《はっ》とした様子・・・ 
何処で火を焚いてた? と聞く何故か優しいおばちゃん 
ゆっくりと指差しました     「わたし そこでは焚いてないの こっちなの」 
確かにおばちゃんの指した処には何か燃やした後がありました 
昨日の所には 何もありませんでした・・・・「この人かい?」仏壇の上を示された 
遺影には 昨日の爺さんでした   今日は命日だそうです・・・ 
出来ることなら新聞は置いてから、直接娘さんに出て欲しかったです 

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