止めちゃいけない『数』

418 名前:本当にあった怖い名無し :2005/04/18(月) 19:19:39 ID:XfTDaEi60
ちょっと長いが、実際に大学生の頃に経験した話。 

当時塾のセンセーをしていた。 
とは言ってもあまり大きな塾でもないので和気藹々としたもので、先生同士のつながりもしっかりしていた。 
まだ覚えてるのが、水曜日、数学のオッサン先生と同じ数学のニーチャン先生と俺しかいない曜日だ。 
酒好きだからコンビニで酒買って来たりして、生徒がいない職員室でささやかな酒盛りをよくやった。 

そんな酒盛りをやっていたある春の日に、なぜか怖い話をすることになった。 
お互いその手の話が嫌いではないので、「よし、じゃあとっておきを話してやろう」とばかりに、 
ノリノリで話を始めることに。 

少し話をして、もりあがってきたときだった。オッサン先生がふと、 
「そう言えば、怖い話をするときって、そこで止めちゃいけない『数』があるそうですよ」 
いくつだっけなぁ、なんて言いながら、ともあれ今までにした話をカウントして、 
俺が「正」の字をつけて記録することにした。 

怖い話って、ひとつするのに結構時間がかかる。 
結局 正 T でカウントは止まった。 
「ラッキー7は大丈夫でしょー」とニーチャン先生が言い、 
オッサン先生も「そうだそうだ」と言った。俺も7なら平気だろうと思った。 

それから、酒盛りの締めくくりに、ニーチャン先生が、 
「そう言えばうちの塾の校舎、建築を始めるときに作業員が死んだとか言われてますよね」 
と言った。ありがちな話だ。 
1Fから5Fまであり、1Fには違うテナント、2Fに職員室で3~5は教室だった。 
「ジャンケンで負けたら罰ゲームで5階まで行ってきません?」 

ちなみに細い階段と廊下は、緑の非常灯しかついていなくて普通に怖い。 
「電気もつけちゃだめ」なんて笑いながら「罰」はどんどん増えていく。 
さすがに俺が最初にびびってしまって、 
「俺無理、勘弁してください」と音を上げた。 

「それじゃ、みんなで一緒にいきますか」と折衷案を出すオッサン先生。 
それなら、と俺も賛同して、3人で5Fへ。 

確かに薄気味悪いが(夜の学校並に、普段人がいるはずのところに人がいないと怖いものだ)、 
3人もいれば大丈夫だった。 
「なんも出ませんでしたねー」なんてのんきなことを言いながら2Fの職員室に戻った。 

机にちらばったツマミやビール缶を片づけようとしていたときに気がついた。 
「あれ、8になってる」 

酔ってはいたが、確かに「ラッキー7」と口に出してまで確認したのに、 
「正 T」 ではなく 「正 下」になっていた。 

「・・・○○先生、書き加えたでしょー!」 
とそこからはお互い疑問の投げつけ合い。でも、普段からおちゃらけてる先生たちだったのに、真剣に首を振っていた。 
記録をしていたのは俺だったので、逆に俺がみんなを脅かそうとして疑われたほどだった。 

結局怖くなって、紙は破いて捨てた……と思う。その辺は覚えてないけど、もっていてもしょうがないから。 
それで、実はもうちょっと続きがある。 

オッサン先生は、翌朝起きたらこの10数年ひいたことのない風邪をひいたらしい。 
本人が一番びっくりしていた。 
ニーチャン先生は、家のパソコンのハードディスクがぶっとんだらしい。 
次に会ったときは「今修理してる……」としょんぼりしていた。 

そして俺はと言えば、その日うちに帰り着いたのが夜中の2時から3時ぐらいだった。 
バッグをおろしたところで、いきなり家の電話が鳴った。 
「イタズラ? まさかこんな時間に売り込み電話のわけないし」 
半信半疑で電話をとった。 

田舎のじいちゃんが脳卒中でぶっ倒れたって電話だった。 
結局意識が回復しなくて、それから半年ぐらい病院暮らしをしたのちに死んじまった。 

話が影響したのかどうかはわからないけど、 
皆さんも、くれぐれも怖い話は8回でやめないようにしてください……。 

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