カラスとお稲荷さん

206 :前スレ59:2006/02/23(木) 02:50:37 ID:pHgXldtf0
数年前、地元のとある神社の神奈備とされる山に登拝した時の事。

山頂にも奥宮とされる神社があり、ハイキングコースでもある
その神社には人に馴れたカラスがいて、登山者に「カー君」と
呼ばれていた。ヒイヒイと息を切らせて山頂に辿り着いたオレの目の前に
いきなりカー君がバサバサと飛んで来た。
ピョンピョンと飛び跳ねてはこちらを振り返る仕草をするので
後をついて行くと、カー君はおもむろに地面を掘り始めた。
中から出てきたのは陶器のスノーマン。金縁でピカピカ光っている。
(さすがはカラス、光モノが好きなんだなぁ…)などと思っていると
カー君はそれをくちばしで咥えてこちらに差し出した。
「何?くれるの?ありがとう^^」と口に出して言うと、
再びカー君はピョンピョンと歩き出し、小道へと誘う。
再び後をついていくオレ。そしてそこに見たものは…

捨てられた陶器のお稲荷さんの山。

全身が総毛立つ、と同時に何故か泣けてきた。
するとカー君は木の上に飛び移り、社殿のほうに向かって
「カァ!」と一鳴き。

居ても立ってもいられす社務所に駆け込み、気がつけば
神職さんに「ちゃんとしてください!」と抗議しているオレがいた。
客観的に見れば単なる電波のウワゴトなのだが、それでも
神職さんは「わかりました」と言って下さった。

やり取りが終わる頃には、カー君はどこかに飛び去っていた。

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