天狗

670:元登山者 04/30(月) 16:37 GiPpx5540 
聞いた話です。 

友人から聞いた話です。 
彼の実家の近くに天狗がすんでいると言われいる山と神社があります。 
その山は今でも修験道とか山伏のような格好をした人が登ったりして 
修行をしにくる人がたまにいるそうです。 

年に一度、その神社では祭りがあり、祭りの日には天狗が山の隠れ家から出てきて神社に泊まっていくと言う言い伝えがあります。
毎年、彼は青年団として祭りを手伝っていて、その年も祭りの準備をしていました。 
そのお祭りは宵の口から始まって、終わるのは夜中と言う祭りなので 
準備は昼過ぎから始まりました。 

その日は朝から曇り空で、下手をすれば雨になるかもという様な天気だったので彼は祭りの準備をしながら空ばかりみていました。
休憩の時、空を見上げた拍子に山の頂上が目に入りました。 
その山の頂上は岩がむき出しで、人がいると見ただけで分かるそうです。 
その山頂に誰かが立って空に向かい扇子のようなもので扇いでいました。 


近くにいた人に「あれ、何やってるんですかね?」と指差しても 
「あん?何もねえじゃねえか。」といわれ、「おかしいなあ」と思いつつ 
も作業に戻りました。 

準備も終わり、解散になったとき山を見上げると、まだ誰かが空を扇いで 
いました。「一体、何してるんだろ?」と気になった彼は、その人影を 
ずっと見ていたそうです。何本かタバコを吸って、いい加減飽きたなあと 
思い、帰ろうと回れ右をしたところ「これで大丈夫。」と声が聞こえた 
ような気がしました。辺りを見回しても誰もおらず、山を見上げても 
人影もいません。 

とりあえず、帰路につき、道々で空を見ると雲が薄くなり、少しばかり 
晴れ間が覗いていました。その年の祭りは天気もよく、盛況だったそうです。 
祭りの最中、一服したくなった彼は本殿の裏に回り、一服していると 
「どうじゃ、凄いじゃろう?」と上から聞こえた気がしました。 
見上げると赤い顔に長い鼻、山伏の装束のそのままの天狗が本殿の 
屋根に座っていたそうです。 

彼が、一瞬、瞬きをすると既にいなくなっていたそうです。 
「やっぱり、天狗っているんだよ。」 
そういって彼は話ながら興奮していました。 

天狗の話と言うことで書き込みました。 
私は見たことがないので、聞いた話で失礼します。 

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